【博物館・美術館】「バンクシーって誰?」展(大阪)見どころと感想

美術館・博物館
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来館日:2022年5月25日(水)
開催場所:グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ
観覧料(税込み):2,000円

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展覧会巡回情報(2022.08.17時点)
大阪:終了
東京:終了
名古屋:終了
郡山:ビッグパレットふくしま 2022年6月29日(水)~2022年8月24日(水)
高岡:高岡市美術館 2022年9月11日(日)~2022年12月6日(火)
福岡:福岡アジア美術館 2022年12月17日(土)~2023年3月26日(日)

“世界中に分散するバンクシーのストリート・アート。その代表作品を選りすぐって、テレビ局の美術チームが、美術館とは異なる会場空間でリアルサイズに再現します。バンクシーのストリート作品を見るために世界一周の旅へ出なくとも、活動の3大地域と言われるヨーロッパ、アメリカ、そして中東の街並みをこの会場で体感いただけます。

故郷イギリスのブリストルからロンドン、映画にもなったニューヨークでの活動や自主企画で一世を風靡したロサンゼルス、そして幾度も訪れては作品を残し続けている中東。映画のセットのようなリアルな街並みを会場に出現させ、撮影OKの新感覚没入型展示を創出します。

公式HP

正体不明の覆面アーティスト、バンクシー。

その作品をただ展示しているだけではなく、描かれた街角、その場にいるような臨場感をもって展示するこの展覧会。

ストリート・アートという展示場にはおさまらない作品の魅力を一味変わった形で紹介しています。

この記事では、「バンクシーって誰?」大阪展の

  • チケットの購入方法(時間指定は有効か)
  • 当日の混雑状況
  • 展示内容と感想、見どころ
  • ミュージアムグッズ
  • 参考文献、参考YouTube

を書いていきたいと思います。

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バンクシーがよく理解できない人によるバンクシー展感想

まずはじめにお断りしておきますが・・・

私はバンクシーの良さが理解できていません!

良さ、というかどう理解していいのかわからないと言ったらいいでしょうか・・・。

アートなのか、描いちゃいけない所に描く犯罪なのか・・・。
そのあたり整理がついておりません。

そんな私による感想ですので、ご了承ください。

チケット 時間指定はあるか?

チケット代が高い!

大阪はチケット代が2,000円でした!

ちょっと高すぎるわね・・・

と、思いませんか?

物価の値上がりが顕著なこのところ、展覧会のチケットも高くなっとりますなあ。

しかもこの展覧会、平日と土日の料金が違うのですよ。

土日は200円値上がりです。

なんてこったい。

時間指定での入場はなし

大阪は時間指定の入場ではなく、チケットを各種プレイガイドで発売していたので、念のため事前にローソンチケットで購入して会場に向かいました。

当日の混雑状況

《Girl with Balloon》

平日にわざわざ休んで行ったにも関わらずの混み具合い。

当日チケットを買う人は行列はしていなかったものの、会場内はかなり混雑していました。

私のように

「なんだかわかんないけど、バンクシーってどんなの?」

という人が多く観に来ていたのかもしれません。

展示の内容と感想

この展覧会はごちゃごちゃしていますが、大まかに分けて

  1. イギリスで発表された作品
  2. フランスで発表された作品
  3. アメリカで発表された作品
  4. 中東で発表された作品
  5. 額に入った作品

に分けられています。

それに沿って書いていきたいと思います。

斜体・緑字になっているのは、会場の解説もしくは後程紹介する参考文献から取った文章です。

イギリス、フランスで発表された作品

この展覧会は路上アーティストであるバンクシーの作品を、映画のセットのようにそのまま展示場に作ってしまいました、な展覧会です。

こんな感じ↓

《London doesn’t work / I Love London Robbo》

はっきり言ってそうしないとバンクシーの良さはわからないのかもしれません。

だってストリートアートなのだから。

本来は街中の人々の話し声、車のクラクション、描かれた場所の意味…諸々ひっくるめて鑑賞するもの。

その意味ではこの形は成功なのでしょう。

スピーカーからはロンドンの喧騒も流れていて臨場感あります。

街中のごみ箱もリアルに再現

表現するメッセージに応じた場所に描かれる

《Spy booth》
道端に生えてる草まで再現

ストリートアートはどこにでも描くことができる反面、全く関係ない場所に描いてもメッセージ性が半減してしまう。

こちらの「スパイ・ブース」はイギリスの通信傍受期間GCHQ(英国政府通信本部)の近くに描かれました。

2009年にロンドンで開催された首脳会議などで各国高官の電話やメールを傍受していたGCHQに対する批判がこめられていると考えられる。

この作品が全く関係のない土地に出現しても

「?」

となりますわな・・・。

背景を知らないとよくわからない?

しかし、上記の電話ボックスもそうですが、説明を見ないとわからない。

イギリスの通信傍受期間GCHQなんて普通に知ってますかね?

私は知らなかった・・・。

フランスのカレー、シリアからの難民キャンプに描かれたこちら。

《The Son of a Migrant from Syria》

スティーブ・ジョブズですな・・・。←それぐらいはわかる。

バンクシーは

「難民は国のお荷物だっていうけど、スティーブ・ジョブズだってシリア難民の息子。彼の父親をアメリカが受け入れたから、年間70憶もの税金を支払うアップル社ができたんだ」

と言っている。

が、恥ずかしながら私はスティーブ・ジョブズがシリアの難民の息子だということも、フランスにシリア難民キャンプがあることも知りませんでした・・・。

というわけで、私のように世界情勢に疎い(疎すぎるだろ!)と説明を読まないとわからない、んですよね(もっとニュースを読めよ)。

続いてぼんやり生きていて不勉強だと、解説を読まない限りよくわからないシリーズ。

《Les Miserables》

ロンドン フランス大使館前の建物に描かれた作品。

『レ・ミゼラブル』の登場人物コゼットが描かれ、催涙ガスに涙を流す。

QRコードが作品の左下に描かれており、フランス カレーの難民キャンプの一部を撤去するために警察が催涙ガスを使う様子を撮影したYouTubeが見られる仕組みになっています。

こんな事件があったことすら知りませんでした・・・。

「ぼーっと生きてんじゃねーよ!」と言ってくれる?バンクシー作品

というわけでぼんやりと生きている人に注意喚起をして、

「ぼーっと生きてんじゃねーよ!世界にはいろんな問題が転がってるんだよ!」

と喝を入れてくれるアートでもあるということに気づきました。

チコちゃんにも叱られちゃう・・・。

アメリカで発表された作品

すみません、ちょっとよくわかりません

アメリカ・ロサンゼルスで開催されたバンクシーの個展「ベアリー・リーガル(かろうじて合法)」展のゾウ。

英語で「Elephant in the rooom(部屋に象がいる)」=「明白な問題について、誰も触れようとしない」という意味。
動物を虐待していると批判されないように動物に有害ではないスプレー塗料を使用している。

ちょっとすみません・・・。

よくわかりません・・・。

会場にはブラッド・ピットなどのセレブも駆けつけ、作品を購入して話題になったそうですが、

よくわかりません・・・。

・・・現場からは以上です。

中東で発表された作品

パレスチナ問題

パレスチナの壁に描かれた防弾チョッキを着た平和の象徴のハト。
正面にはイスラエルの監視塔がある。

《Armored Dove of Peace》

パレスチナのガザ地区の爆撃で廃墟となった家屋の壁に描かれたネコ。
後ろの写真とピッタリマッチしていて臨場感がありました。

《Giant Kitten》
裏側もリアルに再現

バンクシーのパレスチナにおけるほかの作品は以下のHPでも詳しく説明しています。

バンクシーはガザで子猫を描いた パレスチナの人々の苦しみを知らせるために【画像】
世界的に有名なイギリスの覆面ストリートアーティストのバンクシーが、パレスチナ人自治区のガザで、新しい作品シリーズを公開。ガザの苦しみを記録するドキュメンタリー風の作品を、4つの新しいグラフィティアートとして残した。

「世界一眺めの悪いホテル」へようこそ

「ホテルの滞在客はここが人気の場所だからという理由で金を落としていく」

ホテル入り口ではチンパンくんがお出迎え

高さ8メートルにもなる分離壁の前に、陶器店を改装して造られたバンクシープロデュースのホテル。「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」

窓からの眺めを再現した展示となっています。

なるほど、確かに「眺めが悪い」

私は何年か前にイスラエルに行ったことがありまして、その時バスの車窓から撮った写真がこちら。

これぞストリート・アート
壁にはいろんなアーティストによるアートが

ホテルの前も通ったのですが、「どこどこ?」となっている間に通り過ぎちゃいました・・・。

余談:この旅行で見かけた、「スターズアンドバックス」と「スクエアバックス」

「額に入った」バンクシー

《Wrong War》

このエリアに展示されていた額に入った作品は

「反戦」

をテーマにしているものが多くて、マヌケな私でもわかりやすかったです。

《Golf Sale》
《Dumbo》

ガスマスクをしたハエかな?と思って近づいて見たら・・・

《Gas Mask Fly》

切手シートみたいになっているエリザベス女王もガスマスクでした。

《Napalm》

ミッキーとマクドナルドと手をつなぐ少女の姿はピュリッツアー賞を受賞したベトナム戦争の有名な写真から複写されたもの。
少女を助け出した先は「軍国主義的物質主義」という素晴らしき世界だ

と、解説にあったんですが、確かにベトナム戦争に限らず、戦争の裏には金儲けが絶対糸を引いているはずで・・・。

巨大マーケット批判 ⇒ 資本主義批判

反対になんだかあまりピンとこないのがこの辺の消費者批判というか大企業批判。

《Soup can》

イギリスの大手スーパー「テスコ」のスープ缶。

ウォーホールの作品の現代版ともいえる。誰にでも平等に無限に再現されるイメージを表現したをウォーホールに対し、バンクシーは地元経済を脅かす大企業への痛烈な批判を表現

なのだそうですが、ふだんどっぷり大手スーパーの恩恵にあずかって、ぼんやり生きてる私にはピンとこないんですよね…

特にテスコにはロンドン留学時代に大変お世話になったので、足を向けて寝られない。
50ペンスのドーナツをお昼によく買っていたので・・・。

《Morons》

こちらには年々オークションで高騰する自分の作品への痛烈な批判。

画面に書き込まれたメッセージには

こんなガラクタを買うバカの気がしれない

そうだよなあオークションで25億円とかだもんなあ・・・。

ちょっとおかしいよなあ。

もっとほかのことにお金使いませんかね・・・。

会場にはちょっとした遊びも・・・

会場のあちこちにネズミが出てくる映像が仕掛けられていました。

行きつく先は・・・お金を落とす「ミュージアムショップ」

バンクシーだけあって(?)オサレ感がただようものが多かったです。

マグネット。ダサくないので冷マ(©みうらじゅん)にならなさそう
ハンディファンとマスク
ワンポイントなので普段に着られそうなTシャツ

犯罪か芸術か

美術館にあるものだけが芸術?

私は基本真面目な人間なので、

「しちゃいけないことは、ダメ」

という考えです。

なので、勝手に美術館に入って作品を置いてくるとか、パリス・ヒルトンのCDに偽物を混ぜて店頭に置くとか、描いちゃいけない所に絵を描くとか、

それはダメなんじゃないか?」

という考えが抜けないんですよね。

「なんとなくカッコイイ」じゃないんですよなあ・・・。
違法行為、犯罪かアートかの境目に乗っかってるではないですか。

展覧会を見てきたわけですが、結局まだ私の中ですっきりしていません。

やっぱり「描いちゃいけない所に描くのは犯罪でしょ」と今でも思うのですが、それが見る人に勇気を与えたりするものなら、それは芸術足りえるのではないか?

と、なんだか考えすぎてしまい、この記事を書くのに時間がかかってしまいました。

歴史ある美術館に展示してある名だたるアーティストの作品だけが芸術というとそうではないし、
道端にあろうと、展示場に飾ってあろうと、見る人が

アートだ

と思えばそれば芸術作品なんですよね。

そもそも金持ちが評価したから価値のある作品というわけでもないしな~。

と、色々考えさせられましたです。

痛烈な批判は見ていてしんどい

バンクシーの作品は何か(人も含めて)を批判するメッセージ色の強いものが多いです。

個人的な話になりますが、私は基本的に心優しい人間(?)なので、誰かが叱られていたりするのを聞くのが結構精神的負担になります。

このへんは過敏に反応しすぎる、繊細過ぎるHSPという気質によるものかもしれません(HSPについて書いた記事はこちら)。

なのでブラック・ユーモアで片づけられる範囲なら楽しめるのですが、必要以上に特定の人物を茶化したり、バカにしているように感じられるもの・・・

批判も度を過ぎると聞くのがしんどいというか、できれば避けたい

と思ってしまいます。

もちろん、間違っていることや疑問に思っていることは声に出して言った方がいいと思っていますが(正義感は強い)、それも私の「不快」に感じる目盛りを超えたものだと、受け入れがたく思ってしまうのかもしれません。

バンクシーの作品も、その「不快目盛り」を超えてしまうものがいくつかあったので、

「良さが理解できない」

のかもしれません。

これはあくまでも個人的なことなので、どうしようもありません。

というわけで、展覧会を見終わったあともやっぱりすっきりしない感じは残っています。

読んで、見ておくと理解が深まる参考書籍と動画

お役立ち書籍

BANKSY バンクシー 覆面アーティストの謎 

ムックなので全カラー。

写真も多くて見やすい。バンクシーについてざっと知ることができる。

『バンクシー 壊れかけた世界に愛を』吉荒夕記

筆者の吉荒夕記さんとはもう20年以上のお付き合いになります。

私がロンドンに語学留学している時にも、本当にとっっっっっってもお世話になりました!(感涙)

現在もロンドンにお住まいで、大英博物館でのアシスタント・キュレーターのご経験もある吉荒さん。
豊富な経験と知識をもとに現地ツアーガイドもなさっています。

HPはこちら ↓

文化の旅、ロンドン/英国観光‐現地の日本語個人ガイド | ArtLogue

そんな吉荒さんの著作。

「作品に惚れ込んだファンでもない」と冒頭でも書かれていますが、あくまでも中立な立場で、作品だけでなくそれらを取り巻く社会情勢、地域の特異性、文化、社会問題など背景にバンクシーの作品を読み解いていきます。

お役立ちYouTube

◆路上のバンクシー 吉荒夕記

こちらも吉荒さんのYouTube。

実際にバンクシーの作品が描かれた場所に行って撮影、解説されています。

道を行き交う人の声、車の音・・・それらすべてひっくるめての「ストリート・アート」ということを感じさせてくれます。


と、色々書いてきましたが、アートの持つ力、メッセージ性、発表する手段の無限性、などなどあらためて考えさせられる展示会でした。

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