来館日:2022年8月5日(金)
開催場所:大阪市立美術館
観覧料(税込み):2,100円(当日券)
展覧会巡回情報(2022.08.14時点)
大阪:大阪市立美術館 2022年7月16日(土)〜9月25日(日)
宮城:宮城県美術館 2022年10月8日(土)〜11月27日(日)
東京:終了
北海道:終了
フェルメール《窓辺で手紙を読む女》を修復後、所蔵館以外で世界初公開!
隠されていたキューピッドの画中画が姿を現した本作を、所蔵館でのお披露目に次いで公開します。修復後の姿を公開するのは、所蔵館以外では世界初となります。
大阪市立美術館公式HP
ドレスデン国立古典絵画館が所蔵するレンブラント、メツー、ファン・ライスダールなど、17世紀オランダ絵画の黄金期を彩る珠玉の名品約70点もあわせてご紹介します。
今回は「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」の
- チケットの購入方法(時間指定は有効か)
- 当日の混雑状況と所要時間
- 展示内容と感想、見どころ
- ミュージアムグッズ
- 大阪市立美術館周辺ランチ情報
- 予習、復習に役立つ動画・書籍など
を書いていきます。
フェルメールとあるけど、フェルメールは1点しかないよ
この展覧会、「フェルメール」と銘打ってありますが、フェルメールは1点しか展示していません。
「フェルメール展2022」で通りそうですが、何点も展示されているわけではないのだ・・・。
まあ修復したらキューピッドの絵が出て来ちゃったわ、あらどうしよう、の「窓辺で手紙を読む女」がメインなので、1点でもいいのかしら。
私はそこまでフェルメール大好きではなく、むしろオランダ絵画全般に興味があります。
そんな私が書いた独断と偏見による見どころと感想だと思ってお読みいただければ幸いです。
土日祝、お盆、9月の連休のみ時間指定優先
チケット代が高い
平日は時間指定不要、とのことだったので当日窓口でチケットを買いました。
2,100円・・・・・。
高くないですかああああああ?!
フェルメール(1点しかない)だから高いのか、保険が高いのか、物価の上昇でもれなくすべて高くなっているのか・・・。
大人の事情はわかりませんが、以前は展覧会ってこんな高かったっけ???
と昨今のチケット事情に首をひねらざるを得ませんですよ。
「フェルメール展」混雑状況はTwitterでチェックできる
このように公式Twitterでお知らせしてくれます。入場制限をしている場合もあるようですね。
8月初めの平日でも会場内は結構混雑していた
私は混む前に行った方がいいだろうと思い、8月初旬の平日に行きました。
窓口は並ぶこともなくスムーズに当日券を購入、入場できましたが、会場内はかなり混んでいたので土日に行かれる方は必ず日時指定をして行った方がいいと思います。
さすが「フェルメール」を冠につけると人気ですね。
チケット予約はこちらから。
閉会間際になると混みそうな予感なので、いらっしゃる予定の方はお早めに!
所要時間
今回は興味のあまりない静物画や風景画などをすっ飛ばして見たので、1時間弱ほどで見終わってしまった私。
あれ?なんかもう見終わった・・・。
とちょっと正直拍子抜けでしたよ。
なんでかしら・・・。
じっくり見るのであれば、グッズをチェックする時間も含めて、2時間ぐらいはみておいた方がいいかもしれません。
事前にチェックしておいた方が良い情報
アート関連サイトのレビューなど
概要や主な展示作品をサッと見られるので便利です。
個人的には「美術手帳」が展示場の雰囲気が感じられるのでおすすめです。
◆アートアジェンダ
◆美術展ナビ
◆美術手帳
おすすめYouTube
最近は文章で読ませるより、画像で見せる方が多いですね。
美術史チャンネル
スコットランド国立美術館展でもとてもお世話になったこちらのYouTube。
展示作品について簡単に説明してくれています。
展覧会に行く前に見るも良し。帰ってきてから見るも良しです。
「山田五郎 オトナの教養講座」
我らが山田五郎氏の美術チャンネル。
興味のないことでも興味を持つようにさせてしまう山田五郎さんの知識量がすごい。
脳みそのキャパ、どうなっているんだろう・・・。
この動画では
「絵画の修復とは?」
「日本人がフェルメールを好きなのはなぜか」
ということに焦点を置いて解説してくれています。
相変わらず面白くてためになります!
独断と偏見による見どころと感想
あくまでも私個人が感じた独断と偏見による見どころと感想でございます。
先ほども書きましたが、私はレンブラントやフェルメールが大好き!というわけではなくてですね・・・。
人気があるとあえて避けてしまう・・・というあまのじゃくでございます。
美術について専門家でもないので、自分が「この絵好きだな」「この絵面白いな」と思ったものについて自由に書いております。
そんな私の感想です。
ご了承くださいませ。
第1章 レイデンの画家ーザクセン選帝侯たちが愛した作品
今回の展覧会はフェルメールの影に隠れていますが
「ドレスデン国立古典絵画館」(アルテ・マイスター絵画館)所蔵の作品たちです。
ドレスデンはザクセン選帝侯の宮殿があった場所。
第二次世界大戦の空襲で街のほとんどが焼けてしまったのですが、東西ドイツ統一後はかつての美しさを取り戻しつつあります。
私が20年ほど前に訪れた時は、まだがれきのままの建物とかがあって、
「これから頑張って修復します」
という熱意が感じられる状態で
「第二次世界大戦で壊れたんだよね・・・まだそのまま?」
とびっくりしました。
ドレスデンは東ドイツだったので、そのあたりの国の事情もあったのでしょう。
今はもっと修復が進み、さらにきれいな街になっていることでしょう。
そんなドレスデンで栄華を極めたザクセン選帝侯が愛した作品たちより。
◆ヘラルト・ダウ
「歯医者」
なぜこの絵が気になったかというと・・・
歯を抜かれた少年の顔が面白いから
です。
情けな顔の隣で、ペンチかなんかで無理やり引っこ抜いたと思われる歯をこれ見よがしに自慢して見せる、うさんくさそうな歯医者。
麻酔なんかない時代ですから、さぞ痛かろう・・・。
「怖い絵」シリーズでおなじみの中野京子さんによると、この時代の抜歯(医療行為として見なされていなかった)は見世物として興行していた例もあったとか。
みんなが見ている中で歯茎を切開し、血だらけ。しかもスポッと抜けなければぐいぐい引っ張られて、ぎゃあ、ぎゃあ、となるのをはやし立てて見ていたんですかねえ~。
うーん、悪趣味。ほかに娯楽見つけろよ。
歯医者はかなり眉唾ものが多かったということですね。
この絵、画像では結構明るいですが、実物はかなり暗めでして、単眼鏡を使った方が見やすかったです。
◆ヘラルト・テル・ボルフ
「白繻子のドレスをまとう女」
サテンのドレスが美しい後ろ姿の女性。
同じくヘラルト・テル・ボルフのアムステルダム国立美術館所蔵「父の訓戒」と言われる作品の女性とそっくり。
父親による娘へのお説教・・・「父の訓戒」と後世にタイトルをつけられてしまったけれど、実は娼婦を買いに来た男性と、仲介人の女性、娼婦のやり取りの場面だったというこの作品。
当時の人気だったのか、画家本人や弟子たちによる何枚かのヴァージョンが残されています。
出展作もその1枚。
きっと女性が顔を見せずに後ろを向いている・・・というのも想像力をかき立てられて良かったのかもしれません。
作者ボルフはフェルメールに影響を与えたということですが、もさもありなん。
画面からただよう静謐さ、多くを語らない謎めいた物語・・・。
「父の訓戒」とオランダ絵画について、中野京子さんと山田五郎さんが対談しているのがこちらの動画です。
フェルメールが生きたオランダの裏事情(?)ついて知っておくと、展覧会ももっと楽しめます!
「父の訓戒」については、後ほど「読んでおくとより理解が深まる参考文献」のところでご紹介している『中野京子と読み解くフェルメールとオランダ黄金時代』でも詳しく解説されています。
◆ヘラルト・テル・ボルフ
「手を洗う女」
こちらも同じくヘラルト・デル・ボルフの作品
◆ガブリエル・メツー
「レースを編む女」
こじんまりしていてきれいな作品。
解説によると
「猫(見えにくいけど左下の足温器の上にいる)は官能のあかしでもあり、その猫が家の中にいるのは不名誉なこと」
だそうです。
そんなことぐちゃぐちゃ考えずに
「この絵はいいなあ」
と思ったりしたいんだけど。
◆カスパル・ネッチェル
「手紙を書く男」
手紙シリーズ。
何書こっかな~と思案している青年。
オランダは郵便制度が整ったのも早く、ヨーロッパのほかの国よりも識字率が高かったとか。
そのせいもあってか、なんかやたらと手紙シリーズの作品が多いですね。
第2章 レンブラントとオランダの肖像画
「レンブラントと・・・」といってもレンブラントは1点しかありませんぜ。
もう客寄せパンダみたいなタイトルのつけ方はやめようよ~、と思ったり思わなかったり。
レンブラント以外にも素晴らしい作品はあるんだからさー。
「オランダの肖像画」で勝負しようぜ(?)。
◆フランス・ハルス
「灰色の上着を着た男の肖像」「黒い上着を着た男の肖像」
Frans Hals
Gemäldegalerie Alte Meister
Frans Hals
Gemäldegalerie Alte Meister
人間の一瞬の表情を巧みに肖像画という形で表現するフランス・ハルス。
もはや肖像画というより写真だな!の作品を数多く残しています。
◆バルトロメウス・ファン・デル・ヘルスト
「緑のカーテンから顔を出す女」
Bartholomeus van der Helst
Gemäldegalerie Alte Meister
うーん、なんでしょう。
特に美人でもないし・・・二重アゴだし、どすこい体型ですな。
お乳をアピールしているということは、娼婦なのかな~とも思ったのですが、おっぱいポロンシリーズは女神にも多く見られるので、うーん、どうなんでしょう。
これを描いた経緯を知りたい。
◆レンブラント・ファン・レイン
「若きサスキアの肖像」
Rembrandt Harmensz van Rijn
Gemäldegalerie Alte Meister
うわーん、気持ち悪い微笑みだよ~。
実物はもっと気持ち悪いです。どうしたらこんな表情を描くことができるのかしら。
すごい。
奥さんならもっときれいに描いてあげて!と思うのでした。
◆ウィレム・ドロスト
「真珠の装飾品をつけた若い女」
Willem Drost
Gemäldegalerie Alte Meister
憂いをおびた表情、赤い(でもやや黒をおびた赤)ドレス、白い襟、控えめに光る真珠のアクセサリーが黒い背景に沈んでいるようでもあり、浮かび上がっているようでもある。
この絵が展覧会で一番のお気に入りになりました。
作者のウィレム・ドロストはレンブラントの弟子だそうです。若くして亡くなったので、作品数は少ないですが、ウィキペディアによると、レンブラントの作と言われていたものでも、実はドロスト作の可能性の作品もあるとか。
今後研究が進むにつれ、そういう作品が色々出てきそうですね。
こちらはぜひ会場で実物(+展示されている雰囲気)を見ていただきたい作品です。
上記の「美術手帳」のレポートでは展示の状況がよくわかるので、ご覧ください。
暗めの照明の雰囲気が、しっとりしていていい感じ。
ただ、作品解説には
「純潔を失ったことを暗示している」
と、あり、
「オランダの人ってそういう寓意を込めるのが好きなのね」
と思いましたですよ。
どこがどう暗示しているのかよくわからん。
第3章 オランダの風景画
私は風景画はあまり・・・なのでささ~っと見ました。スミマセン。
しかしちょうどこの辺りに椅子があったので、椅子に座ってぼーっと眺めるのには最適の展示でした
(腰痛持ち)。
◆エマニュエル・デ・ウィッテ
「アムステルダムの旧教会内部」
Emanuel de Witte
Gemäldegalerie Alte Meister
こちらも展示してある実物(+展示されている雰囲気)を見ていただきたい作品です。
画像より教会内部の白が際立っていて、周囲のうす暗闇からパキっと浮き立つようでした。
中野京子さんの『フェルメールとオランダ黄金時代』によると、このエマニュエル・デ・ウィッテという画家はかなりの問題画家で、教会でスケッチしてる時に周りの人に大声で怒鳴るわ、ギャンブル好きで借金まみれだわで、奥さんと娘が何度も窃盗に入り、逮捕されたという。
本人は発作的に首を吊りロープが切れて運河に落ちて溺死・・・。
教会の静謐な空気とはうらはらに、世俗まみれ的な人生だったようで。
第4章 聖書の登場人物と市井の人々
◆レオナールト・ブラーメル
「神殿で祈るソロモン王」
Leonaert Bramer
Gemäldegalerie Alte Meister
旧約聖書による古代イスラエルの王ソロモンが、神から授けられた契約の箱などが飾られた祭壇に向かって祈っています。
なんとなくそこはかとなく、ギュスターヴ・モロー(好き)を感じたので、一目見て
「あれ?なんかモローっぽい・・・」(全然違うかもしれないが)
と近づいたり離れたり。
気になった作品を違った角度から見ることができるのも、展覧会の醍醐味です。
◆ヤン・ステーン
「ハガルの追放」
Jan Steen
Gemäldegalerie Alte Meister
民衆のありのままの姿を描くことでおなじみ(?)のヤン・ステーン。
妻サラとの間に子供ができなかったので、妻のすすめで女奴隷ハガルを妻にし、イシュマエルをもうけるが、アブラハム100歳(!)の時にサラ(90歳!)が息子イサクを出産。
あわれ跡目争いに巻き込まれたハガルはイシュマエルとともに家を追い出されることになる・・・、という場面。
アブラハム!なんやねん!
100歳にもなってなんですか!自分のしたことに責任を持ちなさい!
画面では見にくいですが、画面右の家の中にいる妻サラと息子イサクの顔が憎たらしいったら・・・。
特にイサクはブサイク。反してイシュマエルは美少年ですな。
後ろののんきな動物たちにも注目です。
◆ヤン・ステーン
「カナの婚礼」
Jan Steen
Gemäldegalerie Alte Meister
こちらも同じくヤン・ステーン。
イエス・キリストがおこした最初の奇跡。
水がめの水をぶどう酒に変えちゃった!すげえっす、師匠、一生ついていくっす!と弟子たちが言ったとか言わないとか・・・。
しかしイエス(左端でちょっと輝いてみせている)が奇跡をおこしているのに、周りの人たちは誰も注目することもなく・・・。
右の男性二人は「ぶどう酒だ!ぶどう酒だ!」
その男性に挟まれたマリアの表情もビミョウ。
宿屋(居酒屋?)を経営していたというヤン・ステーンだからこその作品なのかもしれません。
余談ですが、聖書によるとこの奇跡の場面でイエスが母マリアに告げる言葉がですね、ヘンテコなのですよ・・・。
マリア「ぶどう酒がなくなってしまいました」
イエス「夫人よ、あなたはわたしとなんの係りがありますか。私の時は、まだきていません」
(『聖書』日本聖書協会)
意味わからん!
お母さんに向かって
「夫人よ」
って言うのもよくわからん!(夫人っていったらデヴィ夫人ぐらいしか思いつかん)
アブラハムといい、聖書に出てくる人はよくわかりませんねえ・・・(そこ?)
第5章 オランダの静物画 コレクターが愛したアイテム
◆ヨセフ・デ・ブライ
「ニシンを称える静物」
Joseph de Bray
Gemäldegalerie Alte Meister
これ、謎だったんですよね。
なんでニシンを褒めたたえるために絵を描いたのか・・・。
ドイツ語ではタイトルが「Stillleben mit dem Lobgedicht auf den Pökelhering」
google翻訳先生によると「ニシンの塩漬けをたたえる詩のある静物」となっていました。
よくわからん真ん中の文章がいかにニシンが健康に素晴らしいかを書いた詩なのかしら。
アルテ・マイスター絵画館のHP(google翻訳)によると、
ニシンは二日酔いを防ぎ、再びビールを楽しむ準備を整えるのに理想的です。また、吐き気、疲労感、食欲不振、消化不良にも優れた効果があります。このように、ニシンの塩漬けの薬用使用は、通常は裕福なオランダ人の食生活や可能性と実用的な方法で組み合わされました。
アルテ・マイスター絵画館HP
とにかくニシンを食べるといいぞ!
ということなのですね。
静物画はあまり興味がないのですが、これは
「ニシン?なんで?」
と気になったしだいです。
第6章 複製版画
◆アルバート・ヘンリー・ペイン
「天の梯子を幻視するヤコブ(フェルディナント・ボルの原画に基づく)」
絵画館の所蔵品を版画にしちゃいました(そんなノリだったかはわからんが)コーナー。
繊細なタッチでとても良いのです。
中でもこの「天の梯子を幻視するヤコブ(フェルディナント・ボルの原画に基づく)」がとてもきれいだったのですが、なぜか画像がアルテ・マイスター絵画館のHPでも見つけられず・・・。
なので、原画のフェルディナント・ボルの作品です。
Ferdinand Bol
Gemäldegalerie Alte Meister
この版画シリーズはポストカードにしてほしかったのですが、残念! 一枚もなかった。
第7章 《窓辺で手紙を読む女》の調査と修復
◆ヨハネス・フェルメール
「窓辺で手紙を読む女」
Johannes Vermeer
Gemäldegalerie Alte Meister
さてさて、今回の目玉作品ですね。
見た感想は・・・
キューピッドがいない方が良い
でした。
現場からは以上です。
ミュージアムグッズ
今回もオリジナルグッズが豊富でした!
定番のポストカード、クリアファイルなどはもちろんのこと、ほかにもいっぱい。
まずはお菓子。
オランダといえばミッフィー。
ドイツの文具メーカー、ステッドラーの文房具。
ステッドラーは日本の大阪支社設立が1926年と、第二次世界大戦前なのに驚きました。
どうでもいいですが、ステッドラーは店頭の「販売陳列コンテスト」なるものを行っていて、ちょっと面白かったです。
鉛筆から始まったメーカーなだけに、販売員の方も鉛筆画が上手い!
展覧会トートバッグはいかにも!なものが多くて実際持つのはどうかなあ・・・なものも多い中、こちらは普段使いできそうです。
「手紙」に合わせて、メッセージカード。
手紙を書くこともほとんどなくなりましたよね。
読んでおくとより理解が深まる参考文献、動画
「山田五郎 オトナの教養講座」
またまた山田五郎氏のYouTubeチャンネル。
これはフェルメールの贋作を描き、ナチスや美術専門家、オランダの美術館をもだまくらかしたハン・ファン・メーヘレン事件についての解説です。
「贋作とは?」を楽しく、でも「人間の絵を見る目ってしょせんそんなもん」と考えさせられます。
『中野京子と読み解く フェルメールとオランダ黄金時代』中野京子
読みやすくて大好きな中野京子さんの本です。
展示会場のミュージアムショップで購入しました。
・独立戦争 ・女性たち ・宗教 ・手紙 など15のトピックに分け、時代背景なども交えつつ主にフェルメールが活躍した17世紀オランダの絵画をご紹介。
この展覧会を見て、
「なんで同じような感じの絵が多いのかしら」
と思っていたのですが、それは
- プロテスタントが国家だったので教会からの絵画の需要がなかった →大型の絵が少ない
- 絵画好きの国民性
- 国民がこぞって絵を自宅に飾った → 画家にとっては売れるため必死。人気があるとわかった題材についてはいっせいに同じような絵が量産された
- 庶民の自宅にも飾れるように絵は小型化
だったからだということがわかりました。
黄金期のオランダには2,000人の画家がいて、500万点以上の絵画が流通していたとか。
うーむ。すごい。
「手紙を読むシリーズが売れるらしいぞ」となればこぞって同じテーマで描き、王侯貴族ではなく庶民が親しみを持つような風俗画が描かれ、また寓意がこめられた戒め的な絵を自宅に飾るということが多くの国民の家で行われていたのでしょう。
ということで、この本を読んだおかげで絵が描かれたバックグラウンドも知ることができ、ただ絵を見るよりその背景を思い浮かべつつ、より深く理解することができるようになったかもしれません。
やっぱり中野京子さんの本はいいなあ。
『地図とあらすじでわかる! 聖書』船本弘毅 監修
「スコットランド国立美術館展」の見どころと感想では『マンガでわかる西洋絵画の見かた 聖書編』をご紹介したので、今回はこちらを。
西洋絵画を見るにあたって絶対に必要になるのが聖書とイエス・キリストの話。
本作では旧約聖書と新約聖書を時代に沿って、地図や図を多用しながら説明してくれています。
私は史学科卒ゆえか(?)年代がわからなくなると気持ち悪いので、時系列ごとにきっちり解説してくれているこちらはとてもお役立ちでした。
『フェルメール画集』(世界の名画シリーズ)Kindle版
「メトロポリタン美術館展の見どころと感想」でも紹介していますが、フェルメールだけでなく周辺の画家についても網羅しているうえ、300円と安い!
Kindleですが、すぐれもの!
電子書籍は場所を取らないのがいいですよね~。
大阪市立美術館周辺ランチ情報
と、いってもまた同じところなんですけどね・・・。
あべのハルカス10階台湾セレクトショップ、神農生活に併設の台湾料理「食習」です。
大阪市立美術館、あべのハルカス美術館に行くときは毎回寄ってしまうこの台湾料理。
今回は「豚肉と干し豆腐の炒め」をいただきました。
干しエビのだしが効いていて、セロリがアクセントになっていて美味しかった~。
最後に・・・見終わってから
オランダ絵画は寓意が多かった
「オランダ絵画にすべてなんらかの寓意画こめられているわけではないが・・・」
と会場の解説にありましたが、あまりにも
「〇〇は▲▲を表しており、▽▽の戒めとなっている」
ということが多すぎて
「もっとストレートに(絵画を)楽しもうよ~」
と思いましたよ・・・。
オランダ絵画は地味だった
これはやっぱり教会や王族、お貴族様からの受注が少なかったからではないでしょうか。
なんかハデハデしいのがないというか、地味目というか、暗いというか、素朴というか(けなしてませんよ)・・・。
このへんも参考図書にあげている中野京子さんの本を読んで納得しました。
私はロココちっくなのとか、ラファエル前派的なもの、クリムトみたいなゴールドだせ、的なほうが好みなので、オランダ絵画ばっかりだと
「ちょっときらびやかなものが見たい」
と思うのかもしれん、と帰路に考えたしだいです。
今回絵を見る所要時間が短かったのも、そんなことが理由かもしれないなと思ったりしています。
キラキラゴージャスド派手な作品の間にお口直し的な感じで、オランダ絵画があるとホッとするのかも。
フランス料理の合間のお味噌汁、みたいな感じでしょうか。
こればっかりは個人の趣味なので何とも言えません・・・。
と、色々書いてきましたが、「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」は目玉の修復されちゃった「窓辺で手紙を読む女」が見られるまたとない機会ですので、ぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
暑い夏は涼しい美術館で!