BBC 映画『大いなる遺産』(2012年制作)
文豪C・ディケンズの名作「大いなる遺産」をH・B・カーター、R・ファインズら英国の豪華キャスト陣を迎えて映画化。愛する女性に翻弄される英国紳士の奇妙な運命を風格豊かに描写。これまで何度も映像化されてきた原作だが、これほどのスケールで書き直されたことはない。
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出演:ヘレナ・ボナム=カーター、レイフ・ファインズ、ジェレミー・アーヴァイン
以下、BBC『大いなる遺産』(2012年)を見た感想です。Amazon prime videoで視聴。
イギリスの文豪チャールズ・ディケンズ作だけど・・・
と、言っても原作は読んだことがありません。イギリスびいきなのにな・・・。
この『大いなる遺産』も『二都物語』も
宝塚の舞台でしか観たことない。
なんかすみません。
実は原書を読もうとして
あっさり挫折した、という過去があります。
それはさておき、うーん、もう少し人間の心のひだ、みたいなものをじっくり描いてもらいたかったかも・・・?
映画としては程よくまとまっていると思いますが、あんまり心に残りませんでした。
残念。
この映画、日本未公開でWOWOWで放送のみだったらしいです。
ヘレナ・ボナム=カーターはヘレナ・ボナム・カーターだった
あらすじとしては、義兄の鍛冶屋と一緒にイギリスの田舎町に住んでいる少年ピップ。
母親は亡くなり、お墓に来ている時に脱走囚のマグウィッチに出会います。
「食べ物とやすりを持ってこい!(じゃないとどうなるかわからんぞ!)」
と脅かされたピップは言われたとおりにパイとやすりを持って行ってあげる優しい子です。
鍛冶屋になる将来が決まっているけれど、勉強も好きでちょっとその将来に疑問も持っているピップの所に、お金持ちのお屋敷に住むミス・ハヴィシャムが遊び相手の男の子を探しているということで、お屋敷に招かれる・・・。
ミス・ハヴィシャムは結婚式当日に婚約者に裏切られ、それ以来カーテンを引いたままの薄暗く結婚式の装飾をほどこしたそのままの部屋に、ウエディングドレスのまま何十年も住んでいるアミダばばあ(若い人はわからんだろうなあ)みたいな頭の女性。
このミス・ハヴィシャムが怖いよ~。
ティム・バートン作品の常連だけあって、そのまま『ナイトメア・ビフォアー・クリスマス』な感じ。
もうヘレナ・ボナム・カーター以外に見えないので、あまり悲壮感がない。
そういうキャラなのね、で終わってしまうのが残念でした。
主人公ピップの一途な恋物語
ピップはお屋敷でミス・ハヴィシャムの養女、エステラに出会います。
エステラは美少女で、そんな女の子に会ったことがなかったピップは一目ぼれ。
でもエステラはミス・ハヴィシャムの歪んだ教育のおかげで氷のような心の、高慢で鼻持ちならない少女でした・・・のはずが、あまり高慢ちきで失礼な子に見えないんだよなあ。
ここで氷のような冷たい美貌と、居丈高な態度と、でも周りを虜にしてしまう魅力を出さないと~。
うーん・・・。
エステラは少女ながらも自分の境遇にちょっと疑問を持っているらしく、素直で素朴なピップと仲良くなって
「キスしても良いわよ」
とか魔女っ子ぶりを発揮します。
しかし急にミス・ハヴィシャムにお屋敷に来なくてもよい、と言われ、しばらくは鍛冶屋見習いとして悶々とした日々をびを過ごす成長した青年ピップ。
突然見知らぬ人からピップを財産の相続人にするので、ロンドンに来て
「紳士になりなさい」
と言われます。
喜び勇んでロンドンに向かうピップ。
「紳士になる」ってどんなことするんだよー、と思ったら、働かず、「林の鳥」とかいう鳥の巣みたいな頭のバカ息子の集まる社交クラブに出入りし、いいものを着て高級フラットに住み、お金を散在して
何もしない・・・
いいな、紳士って!!
私も紳士の修業をしたいよ。
そして大人になってさらに美しくなったエステラに再会。
エステラ、髪型変じゃないか・・・?
サザエさん状態なんだが。
エステラに限らず、女性の髪型が変というか、パタパタママ(また若い子は知らんだろうなあ)状態のセンスのない頭の人が多かったです。
しかし、ピップは出会った時からエステラ一途なので、そんなことは気にしません。
頭がサザエさんだろうと、君が好きだ・・・と(そんなこと言ってないけど)アプローチしますが、エステラはピップに気のあるようなないようなふりで翻弄し(あんまり翻弄してる感ないけど)、鳥の巣頭の一人、クロワッサン頭に乗せてんのか、なドラムルと結婚すると言います。
ピップ大ショーック!!!
ピップは財産を贈与してくれたのはミス・ハヴィシャムだと思っており(ミス・ハヴィシャムもあえて否定はしなかったため)、いずれエステラと結婚できると勘違いしていました。
エステラとクロワッサン頭が結婚すると知り、苦しむピップ。
たぶんミス・ハヴィシャムは、エステラを男性を虜にし、もてあそんで傷つける女性に育てることで、自分を裏切った婚約者を含む男性全員に復讐していると思うのです。
このあたり、宝塚で観た『大いなる遺産』から脳内修正しています。
なーのーでー、もう少しエステラに美貌とそのあたりの描写の追加をお願いしたかった・・・。
あしながおじさんは犯罪者
ピップを財産の相続人にしたのは、パイとやすりをあげたマグウィッチ(レイフ・ファインズ)でした。
犯罪者からお金をもらっていると知って素直に喜べない、ピップ。
しかもマグウィッチは自分が紳士に仕立て上げたピップを一目見ようと国外追放だったのに、危険を冒してピップの家に
不法侵入。
マグウィッチを昔ハメて懲役14年を食らうよう仕向けたのは、ミス・ハヴィシャムを裏切った婚約者でした。
そしてマグウィッチの娘が実はエステラということも判明。
ミス・ハヴィシャムから真実を聞き出そうとミス・ハヴィシャムの屋敷を訪れるピップですが、ミス・ハヴィシャムはろうそくの灯が着た切りウエディングドレスに燃え移り、焼死。
この顔がまたホラー。
うーん、なんだかなあ・・・。
結局ミス・ハヴィシャムの心のうちはわかったような、わからないような。
エステラはピップの手を取るか?
マグウィッチは結局つかまって死刑になってしまいますが(その間いろいろはしょってます)、逃亡を手助けしたり、ピップもマグウィッチに恩というか何かを感じ始めます。
最後には「あなたの娘は生きている。僕は彼女を愛している」というピップの言葉を聞きながらマグウィッチは眠るように最期を迎えます(そんな感じでした)。
時は過ぎ、もみあげくんになったピップの元にエステラから会いたいと手紙が。
エステラはクロワッサン頭と結婚したものの、やはりうまくいかず、クロワッサン頭は蹴り飛ばした馬に蹴り飛ばされて、死んじゃったらしい。
あんな頭してるからだ!
ピップはまだ、ずっとエステラのことが好きですが、エステラはピップの差し出した手を取り、二人で歩いて行けるのでしょうか。
なんかプライドが邪魔して「やっぱやめる」とか言い出しそう。
ビミョーーーーーな終わり方でした。
これは主人公の恋と成長を見守る映画ですね!
イギリスポイント
①労働者階級と、上流階級
ピップがロンドンに出てきてしばらくした時、義兄で鍛冶屋のジョーが訪ねてきます。
一緒に食事をしても行儀の悪さ、レストランでボーイを呼ぶのに口笛を吹くなどジョージの無学さ、労働者階級の行動が鼻についてイライラするピップ。
うーん、君だって少し前までは労働者だったんだよ?
君の使ってるフォークとかナイフもみんな労働者が作ってるんだよ?
未だに階級にはこだわりのあるイギリス。
おさすがです(何が?)。
おお、なんということでしょう、一つしかありません!
2020年6月現在Amazon primeで配信中