2020年開催『ロンドン・ナショナル・ギャラリー』展にはゴッホはじめ、レンブラント、フェルメールなどそうそうたる作品がそろっています。
さすがナショナル・ギャラリー。やって来るものもすごいぜ!
しかし、いっぱいありすぎてどれに注目したらいいのかわからない・・・。というイギリス好きのあなたのために、同じくイギリス好き・西洋絵画好き(偏りあり)の私にんじんてんが、独断と偏見でおすすめをピックアップ!
と、いってもまだ未見です。大阪は11月からなので、見に行ったらまた加筆します。
とりあえず有名どころは押さえておく・・・か?
といっても、実は私あまりゴッホとかフェルメール、レンブランドに興味がないもので・・・。(ゴニョゴニョ)
「ひまわり」は東京のSONPO美術館も所蔵しており、最悪今回の展覧会で人がいっぱいでじっくり見られなくても、その気になれば「別・ひまわり」も日本で見る機会もあるでしょう(BBCドキュメンタリードラマ『ゴッホ真実の手紙』の感想はこちらから)。
フェルメールとレンブラントも人気なので、人だかりになっていると考えられます。
ゴッホ同様、もし人の頭でじっくり見ることができなくても、彼らは人気者なので、
また違う展覧会でおこしになることもあるでしょう!
(と思っておこうかな・・・)
大がかりな展覧会は全てをじっくり見ると疲れるので、あらかじめ自分が興味のありそうなところを公式HPでチェックしておいて、興味のないものはさっさと通り抜けましょう。
しかし初の国外大量展示と言っても、真の「ナショナル・ギャラリー」の目玉作品(どれのことだよ)は来ていないんですよね(当たり前か)。
それを考えると、「ひまわり」が登場したのはすごいことかもしれません!!
ううーむ。
そんな中で私のイチオシはこちら
【第5章】スペイン絵画の発見
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 《幼い洗礼者聖ヨハネと子羊》
なんだこりゃ!
か、かわいすぎる・・・・。
世知辛い世の中ですから、きれいなものやかわいいものを見て心をうるおしましょう!
かわいい少年は洗礼者聖ヨハネ。キリストに洗礼をほどこした人で、踊るサロメに首を所望され、首を切られてお盆に載せられたりしちゃう人です。
たいていはおっさん姿で登場ですが・・・
またの姿は・・・必殺幼児バージョン!
これもナショナル・ギャラリー所蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」
左側にいるシンボルの「葦の十字架」をかついでいるのがヨハネですが、
こ、こわい・・・。
顔色悪すぎやろー!!(登場人物みんな悪いけど)
というわけで、いかにムリーリョのヨハネ君がかわいいかがわかりましたね・・・。
当時のイギリス人にも大人気だったらしいです。
さもありなん。
ムリーリョの作品はもう一つ「窓枠に身を乗り出した農民の少年」が出品されています。
こちらも子供の一瞬の表情を切り取った絵で、すました肖像画とは違い生き生きとしていて身近に感じられます。
当時はペストが大流行り。孤児になった子供も多かったでしょうし、ムリーリョ自身も子供を亡くしています。
だからこそ、こんな優しいまなざしで子供を描けたのかもしれませんね。
【第3章】ヴァン・ダイクとイギリス肖像画がおすすめ!
ルネッサンスやスペイン、フランス、オランダはほかの国にお任せして、せっかくロンドンから来たんだからイギリスに関係した絵画に注目した方がいいんじゃないかなあと思ったり、思わなかったり(どっちだよ!)
ヴァン・ダイクはご存じ清教徒革命で首ちょんぱされた美術愛好家チャールズ1世お抱え宮廷画家。フランドルの出身ではありますが、イギリスで亡くなりました。
のちのイギリス絵画にものすごく影響を与えた人です。
この人がいなかったら、イギリスの肖像画はもっと違っていたのではないかといっても過言ではないぐらい影響が大きかった人。
以前バッキンガム宮殿の見学ツアーに参加したら、ヴァン・ダイク作のものすごく大きいチャールズ1世の肖像画が、バーン!と飾ってありました。
なんかこんなの ↓ (ちょっと違うけど)
おうちにこんな大きい絵画があるのっていいなあ・・・
とうっとりしながら見学していたのを思い出します。
いや、規模が違うから。
宮殿だし。
さて、そんなイギリス肖像画の中でもおすすめがこれ
ジョシュア・レノルズ 《レディ・コーバーンと3人の息子》
イギリス ロイヤル・アカデミー初代会長・レノルズ先生の作品です。
透明感がありますね~。子供たちもまた愛らしい・・・。
左側の子供はベラスケスの描いた同じくナショナル・ギャラリー蔵「ヴィーナスの化粧(ロークビーのヴィーナス)」の天使をコピーしたものだとか(ナショナル・ギャラリーHPより)。言われてみればそんな感じ?あんまりよくわからんが・・・。
これ ↓ (残念ながら今回は出品していません)
レノルズはこのように古典美術の構図やポーズを取り込み歴史画風にアレンジしたり、神話のキャラクターや寓意像に扮してポーズをとる「グランド・マナー」と呼ばれる様式を取り入れて描く画家です。
展示されている「レディ・コーバーンと3人の息子」は「慈愛」(とか寛容さ?)を連想させる寓意。
そ、そうなのか・・・。
ちょっとよくわからない。
ちなみに右側の派手な鳥はおそらくはレノルズのペットで、「生命」を表すそうです。
そ、そうなのか・・・。
このほかにも第3章「ヴァン・ダイクとイギリス肖像画」はイギリスを代表する画家揃いですので、この機会にじっくり見ておきましょう。
スタッブスは「馬の画家」。
筋肉のつき方、骨の構造など、馬を解剖して緻密にスケッチして描かれた絵画は人間より馬に注目。
18世紀のイギリス上流階級の趣味である狩猟や乗馬とのつながりで、さかんに描かれた動物画の画家。いかにも近代競馬発祥の地「イギリス」っぽい画家です。
今回展示されていませんが、ナショナル・ギャラリーの目玉のひとつ、「ホイッスルジャケット号」
上記のチャールズ1世が乗っている馬と比べてください。素晴らしい!筋肉の躍動が伝わってきますね!
【第6章】やっぱりターナーでしょう!
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》
イギリスといえばターナー、ターナーといえばイギリス(?)。
日本では印象派の人気が強いので、ターナーはモネほど有名でないかもしれませんが、イギリスが誇る画家ターナーはモネに影響を与えていたという説があります。
普仏戦争から逃れてロンドンに来ていたモネがターナーの作品を見て
「ガ、ガーン!!(驚愕)」
となったのかもしれませんね。
いわれてみれば、このぼやけ具合(ぼやけてるって言うな!!)・・・。
なにやらどこかしらは影響を受けていると思いませんか?
事実ターナーがモネに与えた影響をテーマにした展覧会(「ターナーからモネへ」福井県立美術館のHPに飛びます)も日本で開催されていますし、イギリスとフランス、画家たちはお互いに影響しあっていたんですね。
余談ですが、どこかで睡蓮以外のモネの作品を見たことがあって、私はそれに驚きました。
「睡蓮以外もあったんだ・・・」(失礼な)
それまでどこがいいのかよくわからなかったのですが、初めて刻一刻と変わる光の変化をキャンバスの上に描いた人なんだなあと理解できました。
(遅いよ!)
と、いうわけで独断と偏見のおすすめポイントをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
ウィリアム・ホガースの作品がないのが残念
ちょっと残念なのが、ウィリアム・ホガースの作品が来ていないこと。
皮肉と風刺が効いていて、あれこそイギリスっぽいと思うのですがねえ~。
上流階級だけでなく、一般市民の生活もエスプリたっぷりに演劇的要素を盛り込んで描いたホガース。
「目で見る戯曲」と言われた彼の作品がいつか日本に来ることを楽しみに待つとしましょう。
もしロンドンに行くことが叶うのであれば、「サー・ジョン・ソーンズ博物館」でホガースの作品にひたることをおすすめします。
「博物館」の概念をぶち壊す、面白い場所だぜ!
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