来館日:2023年7月11日(火)
開催場所:京都市京セラ美術館
観覧料(税込み):2,100円
展覧会情報(2023.07.14時点)
大阪:京都市京セラ美術館 2023年6月27日(火) ~9月24日(日)
東京:国立新美術館 2023年3月 1日(水)~6月12日(月)
ルーヴルの名画に宿る愛のストーリー73点が京都に!
特別な誰かに恋焦がれる神々や人々の情熱や欲望、
官能的な悦び、そして苦悩や悲しみ・・・
神が人に注ぐ無償の愛、人が神に寄せる愛・・・16世紀から19世紀半ばまで73点の名画を通じて、西洋絵画における「愛」の表現の
ルーブル美術館展 愛を描く 公式HP
諸相をひもとく展覧会です。
今回は京都市京セラ美術館で開催の「ルーブル美術館展 愛を描く」の
・チケットの時間指定はあるのか
・当日の混雑状況と所要時間
・独断と偏見の感想
・ミュージアムグッズ
・京セラ美術館周辺カフェ情報
・予習、復習に役立つ動画
など
を書いていきます。
といっても、私は絵画にめちゃくちゃ詳しいわけではなく、ただ好きな絵を見て心をなごませたい・・・と思っている程度の知識なので、そのへんはご了承ください。
混雑状況と所要時間
時間指定優先だが、平日はしなくてもいいかも?
平日ですが、今回の展覧会は「ルーブル美術館」と銘打っているので、観に行く人も多いかと思い、念のために時間指定をしていきました。
そうしたら会場のチケット売り場はガラガラ。
その場で当日券を買ってもまったく問題なしでした。ただ、会場内はかなり混雑していたので、チケットをあらかじめ購入していた人が多かったのか・・・。
閉幕が近づいてくるとさらに混みあうことが予想されるので、念のため時間指定チケットを購入していた方が安心かもしれませんね。
チケット売り場はガラガラでも展示場内は混雑
チケット売り場、会場に入る手前のスペースはこんな感じでガラガラ感をかもし出していたのですが・・・
会場内はかなりの混雑。
「あの絵を見たいけど、順番に並んでないと絵の前に行けない」行列や
「人の頭で見えないよ~」(私は背が低い)
という作品もいくつかありました。
平日なのに、おそるべし「ルーブル美術館」展。
平日でこの状態なら、休日はもっと混んでいると思われます。
覚悟して行かれることをおすすめします。
所要時間
この展覧会、音声ガイド・解説ナレーターは声優の森川智之さんが担当しており、借りるべきか悩んだのですが、今回はパス。
最近の展覧会の音声ガイドは変な(失礼)なタレントや、よくわからない女優もどきが担当することが多いのですが、やはりここは声のプロにやってもらいたいなあと思ったりします。
それはさておき、音声ガイドを借りずに観た結果、ミュージアムショップも含め、1時間ほどで観終わりました。
じっくり見たら1時間半ぐらいかかるかも?
展示構成
今回は「ルーブル美術館展」と銘打っていますが、「ルーブルと言えば!」のような、目玉作家の作品は展示されていません。
ギリシャ・ローマ神話、キリスト教をはじめとした、「愛」を描いた作品を主としているので、全体的に似たような感じの絵が並んでいるような気がしました。
特に前半部分は女神を描くと見せかけて、の女性の裸オンパレード。
なんか肉々しくてもう観ていてお腹いっぱいな感じ。
正直これと言ってピンとこないというか、
「おお、これは・・・」
というものがないというか・・・。
うーん・・・。
展示構成は以下の通りになっています。
●PROLOGUE 愛の発明
●CHAPTER1 愛の神のもとに ー 古代神話における欲望を描く
ギリシア・ローマ神話を題材とした作品
●CHAPTER2 キリスト教の神のもとに
キリスト教における愛を題材とした作品
●CHAPTER3 人間のもとに ー 誘惑の時代
オランダの風俗画やフランスの雅宴画における愛を描いた作品
●CHAPTER4 19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇
牧歌的恋愛とロマン主義における愛を描いた作品
これ、CHAPTER4だけ突然取ってつけたように感じたのは私だけでしょうか。
なんかもうちょっと一ひねりほしい感じの展示内容(作品)なんだよなあ・・・。
CHAPTER3でようやく神様から人間ドラマになったというか、
「こちら側に来てくれたわね!(?)」
と思いましたですよ・・・。
一部写真撮影OK!
CHAPTER4に展示されている作品のみ写真撮影可能でした。
図録買わない派としては、写真を撮りたいので、もっと増やしてほしいものです。
事前にチェックしておいた方がより理解が深まる情報
展覧会に行くときはある程度どのような作品が展示されているかをざっと見て、なんとなく頭に入れていくと、
「何が展示されてたんだっけ・・・」
「観たけど忘れた・・・」
という悲しいことを避けられると思います。
そこでおすすめな参考情報をご紹介します。
YouTube
美術史チャンネル
ありがたいことに展示作品を全部紹介してくれています。
ひとつひとつの説明が短いので、サクッと見ることができます。
全作品紹介以外にも主だった作品について説明した動画もあります。
公式HP作品解説
やはり行く前にこれだけは目を通して行った方が良いでしょう。
紹介作品数は多くはありませんが、画像をクリックすると解説が出てきます。
YouTubeを見るのは面倒くさい、という方はこちらをサッとご覧ください。
独断と偏見の感想
先ほども書きましたが、私的には今回の展覧会は
「なんかいまいち・・・」
でした。
CHAPER1~2までの約45作品ぐらいは
「なーんかおんなじようなのばっかりだな~」
とさえない感想。
どうも神話の神様の肉体に飽和状態になってしまったようです。
これでもかという感じでヌード描きまくり。
さすがに
「神様に例えて女性の裸描きたかっただけでしょ!」
と言いたくなります(芸術作品として観ろって??)。
当たり前ですが、よく観ると作風も主題も違うはずなのにどれも同じように見えてしまう・・・。
きれいすぎて人間臭さが感じられないのでしょうか。
どうものめり込んで見たい作品がありません。
そんななかでも「これは??」と思ったものをご紹介。
主要作品は公式HPで紹介されているのでそちらをご覧いただくとして・・・サクッと飛ばしますが、あしからず。
I. 愛の神のもとに̶古代神話における欲望を描く
◆ジャン=ブルーノ・ガッシー
「ディアナとエンデュミオン」
これ、何が気になったかというと、周りの縁取り(?)
凝った額縁だなあと思って近づいたら額縁はさらにその外についており、この金の縁取りは描かれたものでした。
これがきれい!
金のレースみたいでした。
II. キリスト教の神のもとに
◆リオネッロ・スパーダ
「放蕩息子の帰宅」
父親にもらった財産を使い果たし、会わせる顔もなく無一文のヨレヨレで父親の所に帰ってきたにしては、
イケメンすぎるだろ!!
とツッコみたくなる一枚。
◆ドメニコ・マリア・ヴィアーニ
「放蕩息子の帰宅」
同じ「放蕩息子の帰還」を描いた作品でも全然違いますね(当たり前か)。
右側の青い洋服の人が
「ヨッ!」
とでもしようとしているかのようなポーズと無表情が気になります。
III. 人間のもとに ̶ 誘惑の時代
いいですね~この章から、神様、聖家族⇒人間が主役になりました。
ぐっと身近になってきました!
◆ヘラルト・テル・ボルフ
「粋な兵士」、または「 男性から金を渡される若い女性」
去年の夏開催された「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」でもボルフの作品はいくつか展示されていて、娼婦と仲介役の女性、娼婦を買う男性の作品が目を引いたのですが、今回もそのシリーズ(?)ですね。
男性の手に金貨が乗っているので、「粋な兵士」じゃないだろ!!
明らかに娼婦を買う兵士だろ!
この時代のオランダは市民がこぞって絵を家に飾っていたそうですが、戒め的な意味でこのような題材も人気だったんでしょうかねえ・・・。
◆ミハエル・スウェールツ
「若者と取り持ち女」
こちら、取り持ち女(やり手婆・・・)の鼻と顎がものすごいことになっております。
作品のテーマ云々より、この顎に吸い寄せられました。
こういう顔を見ると、
「魔女っていたのかもしれん・・・」
と思ってしまうのでした。
◆サミュエル・ファン・ホーホストラーテン
「部屋履き」
人間は描かれていないものの、意味深な作品です。
英語タイトルは「The Slippers」
スリッパ―・・・そのままだな。
そのスリッパが脱ぎっぱなし(画像では暗くてわかりにくいですが、ちょうど扉の影のあたりにある)、鍵は鍵穴にさしっぱなし、急いで誰かが来たのか、どうなのか・・・。
奥の部屋にはヘラルト・テル・ボルフによって描かれた「父の訓戒」が飾られています。
Gerard ter Borch (II)
Rijksmuseum Amsterdam
当時人気のモチーフだったのか、弟子たちや他の画家によるいくつかのバージョンがあるこの作品。
こんなところにも描かれているんですね。
◆ジャン=バティスト・パテル
「ぶらんこ」
ぶらんこに興じる人々。
右端の男女を見ると、いちゃいちゃが過ぎて男性が女性の胸元に手を突っ込んでますな。
ぶらんこといえばフラゴナールによって描かれた「ぶらんこ」(イギリス・ウォレスコレクション)が有名ですが、この当時の人々に流行ってたんですかね。
こういう絵を「雅宴画」というらしいですが、この章の絵はこの「うふふふキャッキャッ♡」シリーズが並んでおり、
「こんなんばっかりやってたのかよ・・・平和だな・・・」
とちょっとうんざりしました。
◆フランソワ・ブーシェ
「褐色の髪のオダリスク」
うげえーエロッ!
おっぱい出てるよりエロい!
これ18禁では・・・。
これは芸術なんでしょうか・・・エロ画でしょ!
IV. 19 世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇
牧歌的恋愛ってなんなんですかね?
ちょっとよくわからない。
◆クロード=マリー・デュビュッフ
「アポロンとキュパリッソス」
おおー、BLの世界ですな。
お肌もツルツルでうらやましい(?)
ギリシャ神話におけるエロエロ大王といえばゼウス。その息子のアポロンくんも父親に負けず、男女問わずエロエロビームを発しています。
そのアポロンに愛された美少年キュパリッソス。
彼はある日かわいがっていた鹿を誤って殺してしまいます。
元気出せよ!と慰めるアポロンの言葉も耳に入らないぐらい嘆き悲しんだキュパリッソスの身体からは血が失せ、髪の毛は天に向かって逆立っていき、身体の色は緑色に変化してやがて糸杉になってしまいました・・・。
というお話。
糸杉は「死」の象徴。
ゴッホも糸杉を好んで描いています。
なんとなく意味深な感じ。
Vincent van Gogh Dutch
June 1889
The Metropolitan Museum of Art
◆テオドール・シャセリオ―
「ヘロとレアンドロス」、または「 詩人とセイレーン」
レアンドロスは恋人ヘロのもとへ海を泳いで通っていました。
ある日ヘロの灯す明かりが嵐で吹き消され、行く先を見失ったレアンドロスは溺死してしまいます。
恋人を失ったヘロは正気を失って塔から身を投げて後を追ったのでした。
この作品のレアンドロスは海に身体が飲み込まれ、下半身は波と一体化しています。
それまでキレイ系の絵ばっかりだったので、この荒いタッチはちょっと衝撃的。
このシャセリオーという画家は恥ずかしながら、初めて知りました。
ギュスターヴ・モローっぽいなと思って観ていたら、さもありなん。
モローにも影響を与えた画家とのこと(国立西洋美術館「シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才」)。
◆テオドール・シャセリオ―
「ロミオとジュリエット」
こちらも同じくシャセリオーが描いたロミオとジュリエット。
ロミオの顔はほとんど描かれていません。
茶色い背景にジュリエットの白いドレスとロミオの赤いズボンが妙に目に残る作品。
ミュージアムグッズ
「愛」をテーマにしている展覧会だけあって、全体的に
ピンク
な感じ・・・
女子好みといいましょうか。
定番のポストカード、クリアファイルのほかに、アクリルチャームなども売っていました。
京セラ美術館 カフェ情報
京セラ美術館内にはカフェがありますが、みんな暑いから外に出ずに済まそうという魂胆?なのか、ものすごい混んでました。
待つのは嫌だったので、地下鉄東山駅まで歩く道中にあった「峯嵐堂」で朱雀パフェをいただきました!
美味しかった~。
京セラ美術館周辺は夏は歩くと猛烈に暑いので、周辺でカフェを探して歩くのであれば、河原町か烏丸まで出てしまった方が選択肢が多いかと思われます。
最後に・・・
観終わってからの感想ですが・・・
「無理に行かなくてもいいかな」
でした。
私はもともと今回展示されているようなジャンルの絵は嫌いではない(むしろ好き)なのですが、一気に見せられると
消化不良をおこす
ということがわかりました。
もちろんルーブル美術館の作品が現地に行かなくても見られる貴重な機会なので、興味のある方は暑い夏にクーラーの効いた美術館でのんびり涼むのも良いかなと思います。