2020『ロンドン・ナショナル・ギャラリー』展に行ってきた 感想と見どころ

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2020年大阪『ロンドン・ナショナル・ギャラリー』展 混雑具合

みごとな秋晴れの中の国立国際美術館

色々とロンドン・ナショナル・ギャラリー展について見るべきおすすめ作品などの記事を書いてきましたが、
(◆イギリスを感じよう ロンドン・ナショナル・ギャラリー展がやってくる! 
 ◆イギリスを感じよう ロンドン・ナショナル・ギャラリー展、見どころはどれだ? 
 ◆イギリスを感じよう 中野京子さん著作から読む「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」展 展示作品
 ◆イギリスを感じよう~イギリスのドキュメンタリーを見る~『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』 
をご覧ください)

本家のロンドンは2020.11現在ロックダウン中・・・。

ナショナル・ギャラリーも12/2までクローズだそうです。

そんな中、作品が見られるのはありがたいと思いつつ、大阪中之島の国立国際美術館での『ロンドン・ナショナル・ギャラリー』展(大阪開催2020年11月3日~2021年1月31日)に行ってきました!

その感想です。

チケットは日時指定制で、事前にローソン・チケットで購入しました。朝9時のチケットなんてあんまり買う人いないに違いないから、空いているだろうと思っていたのだが間違い。

並んでる!

みんな朝早いな!

そして日曜日のせいか子連れが多い!うるさい!(私はマナーのない子連れにキビシイ意見です。あしからず)

おうちに置いておけないんだろうけど、正直走り回るうるさい子供はこのように混むことが予想される特別展には来てほしくないなあ・・・(ボソッ)。

混み具合は公式twitterでチェックできるのですが、日時指定の事前予約じゃ意味ないよ~。

それはさておき、長蛇の列でしたが、幸いぞろぞろと前に進むので10分ぐらいで中に入れました。

私、この美術館はあまりなじみがないのですが、展示場が地下なのですね。
展示物の搬入とか大変そう。

入場前だけでなく、展示場内も混んでいた

行列のお手洗いに並び、コートは邪魔なのでクロークに預けていざ展示場へ!

「混んでる~(涙)」

仕方ないのですが、美術展で人がいっぱいだとどうしてもテンションが下がってしまう私。

なんででしょう、極端に下がるのです。

飾ってあるのはロンドンで見た同じ絵画なのに、場所が違うだけでこんなにテンション下がるか?

絵自体が変わったわけではないのに・・・。

なんか突如として気乗りがしなくなったため、音声ガイドのナレーションも主演の舞台を観に行くことも多い古川雄大だったが今回は借りないことにする。

ちなみに音声ガイドのナレーターって大事ですよね。

声フェチの私はいい声の人がナレーションだと絶対借りてしまいますが、今回はパス。

空いている所から見て行こう

気を取り直して見るぞ!

う・・・人の頭で見えない(私は背が低い)。

人気のある絵(もしくは音声ガイドの説明がある絵)には人だかりができているが、人の少ない絵を先にチェックだ!

そこで目を引いたのがこの絵。

ジョヴァンニ・ジローラモ・サヴォルド「マグダラのマリア」

Giovanni Girolamo Savoldo Mary Magdalene about 1535-40 Oil on canvas, 89.1 x 82.4 cm Bought, 1878 NG1031

なんとも不思議な表情のマグダラのマリア。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーのホームページの説明によると、キリストの磔ののち、キリストの墓を訪れそれが空だと気づいた時、もしくは復活したキリストとの出会いを描いたらしいのですが、そんな時だったら驚愕の表情だろう!

こちらを挑発するような何やら隠しごとのあるような・・・。

このサヴォルドという画家は知りませんでしたが、ロンドン・ナショナル・ギャラリーのホームページの説明によると、カラヴァッジョにも影響を与えたとか。

興味のないところはすっ飛ばして見て行こう

私は静物画とか風景画、それ以外にもビンボくさい(?)絵画にはあまり興味がありません。
なので、最近はそのへん(どのへんだよ)はすっ飛ばして興味のあるところのみピンポイントで見ていく方法にしています。
そうすると必要以上に目が疲れずに済むのです。

よってあまり興味のないレンブラントもフェルメールもサクッと後ろから見て終了(私の興味は、そんななのであしからず)。

【第3章ヴァン・ダイクと イギリス肖像画】へ突入だ

ヘリット・ファン・ホントホルスト「ボヘミア王妃エリザベス・ステュアート」

Gerrit van Honthorst Elizabeth Stuart, Queen of Bohemia 1642 Oil on canvas, 205.1 x 130.8 cm Bequeathed by Cornelia, Countess of Craven, 1965 NG6362

イギリスを感じよう ロンドン・ナショナル・ギャラリー展がやってくる!

でも書きました、この方です。

実はこの記事を書いたのは5か月ほど前・・・すっかり忘れてましたよ、どんな方だったのか。
恥ずかしながらその場で自分のブログを開き、チェックするマヌケな私。

予習してから来い!

「そうそう、そうだったー」と再確認が終わってから改めて絵を見る。

「思ったよりオトコ顔だな・・・やっぱり苦労が顔に出てるな・・・」

画面上では見ることができなかった彼女の生きてきた人生が生の絵画からは読み取れます。

やっぱり生でじっくり見ると絵画から感じる何かがありますね。

ジョシュア・レノルズ「レディ・コーバーンと3人の息子」

Sir Joshua Reynolds Lady Cockburn and her Three Eldest Sons 1773 Oil on canvas, 141.5 x 113 cm Bequeathed by Alfred Beit, 1906 NG2077

おおおお・・・やっぱりきれいだ・・・子供たちのなんと愛らしいことでしょう。

絵自体に透明感があります。

この絵の前に椅子があったら小一時間ぐらいはぼーっとしていられるような絵です。

しかし、悲しいかな、この展覧会、休憩するソファみたいなのが皆無なのですよ!

「頼むから椅子置いてくれ!!」

と言いたい・・・。

置くスペースあったと思うんだけどな。コロナ対策かな。
ソファにバッテンつけて座れる人を限定したらいいと思うんだけど・・・ダメ?

トマス・ローレンス 「シャーロット王妃」

Sir Thomas Lawrence Queen Charlotte 1789 Oil on canvas, 239.5 x 147 cm Bought, 1927 NG4257

イギリスを感じよう ロンドン・ナショナル・ギャラリー展がやってくる!

でも触れましたが、シャーロット王妃は王であるジョージ3世との仲は良かったようですが、息子がバカ息子(のちのジョージ4世)だったり、ジョージ3世の病に悩まされていたようで、かなりお疲れだった時の一枚。

実際に見てみると本当に

「陛下、ご心痛お察しいたします」

と声をかけたくなるような風情。
目はうつろでぼんやり遠くを見ている感じ。

ボヘミア王妃エリザベス・スチュアートでも思いましたが、モデルの生きてきた人生を一枚の絵画に描きこむ画家のすごいこと。

そしてそれはインターネット上や本に掲載された絵画からは感じることができない、モデルと画家と見る者のつながりのようなものなんでしょうね。

浪費と放蕩の限りをつくしたジョージ4世はイギリス、ブライトンに豪華絢爛ロイヤル・パビリオンを建てちゃった人。

ロイヤル・パビリオン

ワビサビを好む人には受け入れられないでしょうが、内装が派手派手なので、ルートヴィヒ2世のお城が好きな方にはおすすめです。

【第5章】「スペイン絵画の発見」にも見どころたくさん

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 「幼い洗礼者聖ヨハネと子羊」

Bartolomé Esteban Murillo The Infant Saint John with the Lamb 1660-5 Oil on canvas, 165 x 106 cm Bought, 1840 NG176

やっぱりこれでしょう!!今回のイチオシ!

なんてかわいいんだー!!

私は特に子供好きではありませんが、ぎゃーぎゃーうるさい日本のガキどもよ、この愛らしさを見習え!(?)と言いたい!

この愛くるしさで性格悪かったらびっくりするわ。

これは洗礼者ヨハネくんですが、同じ子供でも、隣に展示してあってもあまり皆さんの興味を引いていなかったように見受けられた同じくムリーリョによるこの少年にも注目です。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「窓枠に身を乗り出した農民の少年」

Bartolomé Esteban Murillo A Peasant Boy leaning on a Sill about 1675-80 Oil on canvas, 52 × 38.5 cm Presented by M.M. Zachary, 1826 NG74

ムリーリョはストリートチルドレンを描いていたようですが、一瞬の表情を切り取る、まるで写真です。

ここの章にはほかにも

エル・グレコ「神殿から商人を追い払うキリスト」やフアン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソ「喪服姿のスペイン王妃マリアナ」があってじっくり見ました。

エル・グレコは私は好きなのですが、あまり立ち止まってじっくり見ている人がいなかったです。

なぜかしら。たまたまですかね。

この2作については

イギリスを感じよう 中野京子さん著作から読む「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」展 展示作品

で書いていますので、よろしかったらどうぞ。

未チェックの作品も・・・

フランシスコ・デ・ゴヤ「ウェリントン公爵」

Francisco de Goya The Duke of Wellington 1812-14 Oil on mahogany, 64.3 x 52.4 cm Bought with aid from the Wolfson Foundation and a special Exchequer grant, 1961 NG6322

この作品は見に行く前は特に印象にも残らず、未チェックだったのですが・・・会場で見たら妙に印象に残りました。

なんだろう・・・ものすごく頭悪そうに見えるのは私だけですかね?

ゴヤは必要以上にモデルを美化しなかったそうですが・・・。

プラド美術館蔵の「カルロス4世の家族」もひどいもんなあ(失礼)。

La familia de Carlos IV
GOYA Y LUCIENTES, FRANCISCO DE
Copyright de la imagen ©Museo Nacional del Prado

この頭悪そうシリーズに連なってしまった、ウェリントン公爵、

お気の毒です・・・。

いくら宮廷お抱えの有名画家でもバカっぽく描かれるのは嫌だなあ。
ゴヤには肖像画を書いてもらいたくないなあ(おこがましいんじゃ!)。

皆さんはもし肖像画を有名画家が描いてくれるとしたら、誰がいいですか?

私はレノルズ先生に思いっきり美化してもらうか、ロココのブーシェかフラゴナールに思いっきり軽やかに、晩年のルドン、ブレイクに思いっきりわけわからん感じに描いてもらいたいです(言うだけはタダだからねー)。

ウェリントン公爵関係 YouTube

※2022年2月26日追記

山田五郎 オトナの教養講座

2022年2月25日公開の映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』でナショナル・ギャラリーから盗まれたのはこのゴヤの「ウェリントン公爵」

山田五郎さん曰く、ウェリントン公爵は戦争続きでお疲れだったからこの顔だった?とか・・・。

面白い!

ルカ・ジョルダーノ「ベラスケス礼賛」

Luca Giordano A Homage to Velázquez about 1692-1700 Oil on canvas, 205.2 x 182.2 cm Presented by Lord Savile, 1895 NG1434

オレンジのドレスの女の子の顔が骸骨にしか見えない~。かわいくない~。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーのホームページの解説によると「中央部分はほとんど仕上げられていない」とのこと。

そうだろう。右下の作者だと思われる男性も実際に見るとちょっと楽しい感じに途中な感じ。

見終わって

展示場には40分もいなかったと思います。

なぜなら、先ほども書いたように興味のないところはすっ飛ばしたので、じっくり見る作品数が極端に少なかったからです。

そして椅子に座ってぼーっとする場所もなかったので(コロナ対策かな)、結局さっさと出ざるを得なかったという・・・。

私が楽しみにしているのが、特展グッズの売店なのですが、狭いうえに激混みで(3密大丈夫か?!)、こちらもポストカードのみ買って早々に退散。

なんだか不完全燃焼な感じでした。

空間と雰囲気も含めての絵画鑑賞

思うに私は「絵画」というものを「雰囲気」も含めて鑑賞しているようです。
なので建物や設備がイマイチだったり、人が多すぎたりして(ましてや展示場で全然関係ないことをしゃべりながら鑑賞している人がいたりすると)落ち着いて見ることができないと楽しめないのだと思います。

御本家のロンドン・ナショナル・ギャラリーの常設展はそんなに混んでいないのですよ(広いし)。

建物も、展示室内も重厚なのでそれも含めての「絵を見る経験」なのかもしれません。

日本だから楽しめないというわけではなく、以前行った「ギュスターヴ・モロー」展は感動しまくりで2回ほど行ったぐらいです。

美術館は私の中で「お寺」に行くような、心静かに作品を見る場所なのか。

お寺で縁側に座って、のんびりとお庭を眺める時間・・・。

周りのざわざわと、切り離された大切な時間。

それが確保できないと、どうもよろしくない。

私は他の記事でも書いていますが、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン 敏感すぎて疲れる・・・① ~HSPを40代で知った私~)のきらいがあるので、周りにものすごく敏感に反応してしまう。

音だったり目から入る情報だったり・・・。

だから子供が騒いでいたり、大きな声で話しる人がいたり、作品を見ないでイチャイチャしているカップル(死語?)がいると気になって集中できない。

テンションだだ下がりになってしまうのです。

そういうのが必要以上に気にならない人がうらやましいといつも思います。

久しぶりに梅田~中之島を歩く

お天気も良かったので、行きも帰りも美術館まで大阪駅から25分ぐらいかけてのんびり歩きました。

道中にあった「蛸の松」

説明によると、江戸時代にこの堂島川沿いは各藩の蔵屋敷が並んでいたそう。

久留米藩と広島藩屋敷から見える松の枝ぶりが泳ぐ蛸のようにみごとで、風光明媚な場所だったと説明版に書いてありました。

今は枯れちゃって、場所も対岸に移されたそうですが、このように松が植えられていました。

中之島近辺は歴史ものやレトロビルも多いので、それらを探しがてらお散歩にはいい場所です。

ダイビル本館

時間が早くて開いていなかったダルマイヤー。今度はのんびりランチがしたい。

というわけで、朝から出かけて行った「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」ですが、私はちょっと疲れたという結果になりました。

とはいえ御本家がクローズしている今(2020.11)、日本で収蔵品が見られるというのはへんてこで貴重な機会ですし、有名な作品がてんこ盛りなので、見に行っても損はしません。

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