観劇日:2023年1月7日 13:00公演
劇場:大阪 オリックス劇場
料金:13,000円(全席指定)
上演時間:約2時間(休憩なし)
人を食らう巨人…その恐るべき存在から逃れるため、
人々は巨大な三重の壁を築き上げ、自由と引き換えに平和を手にした。
それから100年、突如として平和は崩れ去る。その日人類は思い出した
ヤツらに支配されていた恐怖を…鳥籠の中に囚われていた屈辱を……現れた超大型巨人により、人々の生活は蹂躙され、
大切な存在をも奪われていく。幼いエレンは巨人を見つめ、憎しみを込めて誓う。
駆逐してやる!!
進撃の巨人-The Musical- HP
この世から…
一匹残らず!!
言わずと知れた人気漫画『進撃の巨人』のミュージカルを観てきました。
『進撃の巨人』についてどのぐらい知っているかというと、
・原作既読
・アニメ放映分はすべてNetflixで視聴済み。何回か見返すくらいは好き。
ミュージカルについては
・コミックやゲームが原作の舞台(いわゆる2.5次元ミュージカル)はあまり観たことがないが、もともとミュージカルふくめた舞台好きで、よく観に行く。
です。
以下、
原作・アニメ好きの立場、ミュージカル好きの立場から、「進撃の巨人-the Musical-」のネタバレありの感想をお伝えします。
あの『進撃の巨人』をどのようにミュージカル・舞台化したのか、巨人はどうやって舞台に出てくるのか?!
当日の混み具合
めちゃくちゃ混んでました!!大盛況です!大人気です!ほとんが女性です!
オリックス劇場は久しぶりだったのですが、入るのに行列・・・・
ミュージカルのグッズ販売も大行列。
グッズはパンフレットのほかに、アクリルスタンド、ブロマイドなどがありました。
何も買ってないけど。
最近グッズでよく見るアクリルスタンドって、買ったら飾るんですかね?飾るんですよね・・・。
グッズ情報はこちら
来場者特典ということで、特製ビジュアルカードというのをもらいました。
HPによると種類は2種類あり、どちらがもらえるかはランダムだそうです。
かなり前に会場入りしたにもかかわらずお手洗いは大行列。
オリックス劇場、お手洗いの数をもっと増やした方がいいぞ!!
13:00きっかりに上演しなかったので、ぎりぎり開演までに着席できましたけど、滑り込みでした。
原作・アニメシリーズからの視点
構成としては、オリジナルストーリーなどではなく原作に忠実なストーリーを、歌とダンス(群舞多し)を含めて綴っていく作品でした。
比重としては調査兵団よりも訓練兵時代に重きを置いた作り。
兵士の苦悩、葛藤、絶望や民衆の恐怖も描かれています。
ストーリーのどの部分を舞台化したのか
街が超大型巨人に襲われエレンの母が死に、エレンが訓練兵になり、再び街が巨人に襲われてエレンが巨人化、壁の穴を岩でふさげるか、というところまででした。
原作でいうと1~3巻ぐらい、アニメシリーズではシーズン1 第1話~10,11話ぐらいまで。
本当に物語の序盤も序盤。
巨人討伐に効果をあげられない調査兵団に不信感を持つ民衆の歌や、壁を壊された恐怖を歌う場面、訓練兵の群舞などが長かったので、
「こんなのんびり進んでいて、どこまで描いてどういう終わり方をするんだろう」
と思って観てました。
そうしたら
「おおっと、ここで終わり?」
エレンが巨人化して壁の穴を石でふさぐぞ、頑張るぞ、オー!!みたいな感じで終わりました。
原作だとそのあとはもろもろあった後、女型の巨人が出てきて・・・ライナーたちが実は・・・という流れですが、女型の巨人は出すのが難しいのかしら。
アニちゃんのくだりまでを入れるとちょっと盛沢山になるかもですね。
原作との違いは?
今回のミュージカルは、ほぼ原作をそのままなぞった脚本でした(と、思われる。違ってたらごめんなさい)。
訓練兵のみんなが巨人の合間を縫って立体機動装置のガスを本部に取りに行くくだりはやや省略でしたが。
セリフも忠実に再現していたかと思われます。
個人的にあって嬉しかったセリフとしては・・・
ミカサ「私は・・・強い・・・あなた達より強い・・・すごく強い!・・・ので私は・・・あそこの巨人共を蹴散らせることができる・・・」
ジャン「残念なのはおまえの言語能力だ」
そこ?!
それはともかく、訓練兵時代のわちゃわちゃと、兵士の葛藤に結構時間を割いていたような印象です。
うん、別にいいんじゃないですかね、わかりやすくて。
原作は完結していますが、すべてを盛り込むのはちょっと無理があるでしょう。
今回は「エレン、巨人化するの巻」
次回は「女型の巨人の巻」「鎧の巨人の巻」とか続けていけそうだし(?)。
続編を舞台化するなら観に行っちゃうかもしれません。
エルヴィン、リヴァイ、ハンジの出番は?
しかしここまでのストーリーだとあまり出番がないエルヴィン、リヴァイ、ハンジ。
それじゃあつまらん!!実につまらん!
ので、訓練兵のキャラ紹介みたいなところで登場してました。
訓練兵への巨人のレクチャーもハンジさん。
エレンが巨人化し、穴をふさぐぞ作戦の説明、兵士の鼓舞などはピクシス司令ではなく、エルヴィンとリヴァイでした。
いいぞ!二人の掛け合いもっとやれ!やってくれ!
やっぱりこの3人が出ないと『進撃の巨人』じゃないですよね〜。
キャラクターの再現度は?
私はあまり2.5次元ミュージカルは観ないので、よくわからないのですが、ものすごくビジュアルを似せてくるんですね~(当たり前か。だから2.5次元なのか)。
訓練兵のみんな、そのままやんけー、と思いましたよ。
大人組のエルヴィン、リヴァイ、ハンジも再現度高い!
リヴァイの眉間のしわも、ヅラヴィンじゃない、エルヴィンの一糸乱れなさそうな髪型もそのままだ!
そして、エルヴィン>ハンジ>リヴァイの身長差がちゃんと表現されてて私は嬉しい。
日本人キャストの海外ミュージカルだと、
「どこから見ても日本人にしか見えない」
人が「チャーリー」とか呼ばれてたりして興ざめなことが多いのですが(チャーリーって誰だよ)、そんなことももちろんありませんでした。
立体機動装置は?
こちらがですね、ワイヤーアクションでとてもカッチョイイ出来となっておりました!
巨人や街並みは映像で後ろに投影し、ワイヤーで吊るされた役者さんと重ねてうまくスピード感も表現。
特にへいちょー!
リヴァイの立体機動装置での巨人討伐シーンが再現されていて、興奮しました!
「おとなしくしてろ・・・そうしないとお前の肉を・・・綺麗に削げねえだろうが・・・」というところです。
その他でもワイヤーと映像をうまく組み合わせて立体機動装置の場面は見ていて違和感もなく、むしろ
「かっこいいからもっと見たいー」
という状況だったことをご報告いたします。
巨人のビジュアルは?
「巨人をどう表現するのか?!」が気になっている人も多いのではないでしょうか。
私もそうでした。
「人間が巨人を演じて、人間役はミニチュアだったらどうしよう・・・」
と思っていましたが、うーん・・・。
巨人は3種類
①映像で映される巨人は人が演じている
身体は筋肉柄?みたいな全身タイツ姿
②超大型巨人は顔と手のみ
ものすごく大きい顔と手が登場。手は棒を使って人が動かす。
③鎧の巨人とエレンの巨人はちょっと大きめな文楽型?人形で登場
手足が分かれているので、文楽の人形のように棒を使って人が動かす。
ということに相成りました。
②の超大型巨人は本当に巨大だったので、迫力があってちょっと怖かったのですが、笑えたのが①
全身タイツにしわがよってる~(爆笑)
巨人ってそのへんのおっさんみたいなのも多いですが、結構グロい気持ち悪い顔をしてたりしますよね。
口がぐわっと耳の下まで割けてたり、目が異様に巨大化してたり・・・
しかし
その辺の人が白い全身タイツ姿でうろうろしているようにしか見えん・・・
これは失笑。
しかしそれさえ気にしなければ(かなり気になるけど)、手前の俳優とかぶせて巨人に喰われるシーンも迫力ありました。
おお、そうやって表現するのか!と思いましたもん。
しかし③のちょいデカ文楽巨人。
うーむ・・・これなら、映像にかなり作りこんだ造形の巨人を映して、あとはコロスとスモークみたいなので表現できなかったんでしょうか。
なぜ肝心のエレンの巨人がこれ?
あえてアナログ手法を取ったのかもしれませんが・・・。
ミュージカルとしてどうだったか
ショーとして観る
以下少し辛口になります。ご不快な方は飛ばしてください。
厳しい言い方をするようですが、あまり質の高い「ミュージカル」だとは思えませんでした。
(演出、音楽、作詞の方は失礼ながら存じ上げません)
ミュージカルを期待していくより、「ショー」としてご覧になった方が良いかもしれません。
どのように見るかによると思うのですが、あの原作を舞台化して、キャラクターが舞台に立っている、という視点から見たら良かったと思います。
それは群舞が多く、最後もみなさんでダンス(海外ミュージカルにあるようなダンスではない)だったのもそう思った要因のひとつかと思います。
あと印象に残る歌や心に響く歌詞がなかったのも残念でした。
「この曲いいな」であったり、「いつまでも口ずさめそう」な耳に残るメロディが私にとっては皆無で、無難に流れてしまった。
歌に関しては、そんなに上手い人がいないなあ〜でした。
やたらとセリフや歌をがなり立てている印象だったので、もう少し落ち着いて声の大きさだけじゃなく、それ以外の感情で客席に伝えるようにした方がいいのではないでしょうか。
これは演出や歌唱指導(いたの?)にもよると思います。
でも原作やアニメを見返していたら、結構みんな、どなってたり憤っていたり、叫んでいたりが多いこの漫画。
仕方ないのかも・・・。
観て良かった
と、ミュージカルとしては辛口批評になってしまいましたが、総じて観に行ってよかったです。
やはり立体機動装置での戦闘シーンには興奮しましたし、舞台の展開に勢いがあったので観ていて楽しかった。
兵士や民衆の葛藤、苦しみもきちんと描いていて単なる
悪い巨人を倒す正義の味方の話ではない
のですな、『進撃の巨人』は。
ライブ配信について
この「進撃の巨人-the Musical‐」はライブ配信があります。
舞台を観に行けないという方はこちらでどうぞ。
でも絶対生で観た方がいいと思います!
その方が絶対楽しめます。
今回劇場に足を運べない、という方は再演があったら是非!
進撃の巨人-the Musical‐ チケット発売状況
チケット発売状況です。
2023年1月13日時点で、日によっては余裕がありそうですね。
東京公演を観ようかどうしようか悩んでいる方はお早めに~。
しかしチケット代が13,000円とお高くなっております。
このコロナ禍では自分自身が観に行けなくなることもあります。
その場合、最近はリセールなどの制度も整ってきたとはいえ、13,000円は結構重いなあと感じます。
この公演だけでなく、ほかの舞台作品についても、もう少しどうにかならないものでしょうか・・・。
進撃の巨人-the Musical‐ に関する記事について
以下はこの舞台について書かれたニュース記事です。
(2023年1月13日時点)