来館日:2022年4月16日(土)
開催場所:神戸市立博物館
観覧料(税込み):1,700円(前売り券)
展覧会基本情報
神戸展:2022年2月5日(土) 〜 5月8日(日)
東京展:終了
歴史の殿堂として知られる英国・ロンドンの大英博物館は、古代エジプト文明の研究でも世界を牽引してきました。本展は、6体のミイラを選りすぐり、CTスキャンを用いた画像解析によって、外側からはうかがい知ることのできないミイラの謎を解き明かし、古代エジプト人の生活や文化を紹介します。
神戸市立博物館HP
世界中のものを盗ってきちゃったことで名高い泥棒博物館、大英博物館。
失礼。違うか。
そこから6体のミイラと、彼らの生きてきた時代に関係のある装飾品や、当時のエジプトの人々の宗教観を表す品々を展示しているのが今回の展示です。
ただ単にミイラと棺を展示しているのではなく、ミイラさんを生きてきた一人の人間としてとらえ、CTスキャンによる死因や持病の解明、碑文や埋葬品などからミイラさんがどのような人でどのような生活を送ってきたかを解説してくれます。
結果、
「神戸市立博物館のミイラ展は面白かった!」
です。
以下、神戸市立博物館「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」の
- チケットの購入方法(時間指定は有効か)
- 当日の混雑状況と所要時間
- 展示内容と感想、見どころ
- ミュージアムグッズ
- 周辺のカフェ情報
を書いていきます。
チケットは事前購入、時間指定がおすすめ
時間によっては当日券購入で並ぶ場合も・・・
私が行ったのは土曜日でしたが、時間帯によっては当日券購入の人が並んでいたので、事前に時間指定をしていった方が待ち時間なしにスムーズに入れると思います。
時間指定のチケット購入はこちらから
見終わった15:00ぐらいにはちょっとだけ行列になっていました。
やはり時間指定の人を優先で、当日購入の人は入場人数を見て、制限をかけているようです。
会場内はちょっとした混雑
会場内はそんなにゆとりがあるわけではなく、CTスキャンの様子を2-3分の映像で見せていたので、そこにどうしても人がたまってしまい、その周辺の展示物を見たいのに見れない・・・という状況でした。
その意味では時間指定は有効なのかしら・・・という疑問もあります。
そして子供連れが多い!
会場内が暗いのでちょろちょろされるとちょっと危ないな~(邪魔だな~)と思ったり思わなかったり。
子供向けのワークショップも開催されているようなので、そっちに参加してからの方が子供さんには面白いかもしれません。
まあもっと子供にも博物館や美術館にきて色々吸収してほしいのですが、混んでいる特別展じゃなくて、常設展が面白いところに行ってくれないかな~(どこか知らんが)。
展示を見る所要時間は?
前述のようにCTスキャンの映像が面白いので、それを見てから周辺の展示物を見ていくと結構時間がかかりました!
音声ガイドを借りず、興味のないところはすっ飛ばして見た私は1時間半弱ほど。
音声ガイドを借りた友人は2時間弱かかっていました。
なので、ちょっと時間の余裕をもって行った方がいいと思います。
会場内には椅子がまったくなく、少し休憩・・・ということもできないので、その辺もお気をつけください。
独断と偏見による見どころと感想
ミイラの生前の様子がわかって面白い!
CTスキャンによって死因や健康状態がわかる
CTスキャンによって骨などから生前の健康状態を解明。
現代の技術ってすごいですね~。
例えばテーベの役人だったアメンイリイレトさん。
骨盤にガンの病変の形跡があったので、ガンでなくなったのでは?
次は代々続く高位の神官、ネスペルエンネブウさん。
血管にプラークの跡があるので、心血管疾患の可能性や、虫歯の形跡が顕著なので、歯槽膿漏などの歯科疾患あったと思われる。
など、何重にも棺で包まれ、豪華な副葬品に囲まれているということは身分の高い人だろうに、歯槽膿漏で口臭がすごかったんだろうなあなどとばらされてしまう、このおそろしさ。
3000年前に、彼は果たして想像できただろうか・・・。
口が臭いことを展示を見に来た何万人に知られてしまうなんて・・・。
棺に書かれた銘文によって家系や仕事などがわかる
なんでこんなに詳しくお仕事とかがわかるのかしら、と思っていたら、棺に事細かく書かれているんですね。
私は生前のことなんてあんまり書かれたくないなあ。
まあわざわざ棺に自分のことをアピールできるような身分の人がご立派なミイラさんになったんでしょうが・・・。
ネスペルエンネブウさんは12世代におよぶ家系をたどることができるとか。
そんなに詳しく書く必要あるでしょうか。
生前に自分で「これとこれを書いておいてくれ」とか頼むんですかね。
ちなみにこの ネスペルエンネブウさんのミイラは一人だけあたまにお椀?お皿?みたいなのを乗せてるんですよ。
理由はわからないそうです。
ベレー帽代わりかなあ(んなわけない)。
時代によってミイラも変わっていく
ミイラは通常内臓、脳を取り出してそれぞれ壺に入れたりしましたが、ミイラの作り方は時代や地域によって変化したようです。
下エジプトの神官だったペンアメンネブネスウトタウイさんは通常は取り除かれる脳が珍しく残った状態でミイラにされています。これからも地域や時代によって変化した可能性があることがわかります。
「木棺やミイラからは、彼の遺体がテーベでミイラ化されたことが示唆され、遠く離れた南部の地で他界したようである」とHPに記載されており、旅先で死去したのか?とも。
こんなことまでわかるんですね~。
ちなみに脳は鼻の穴からかき出され(痛そう~)、内臓を抜いたあとの身体にはおがくずや土を入れていたとか。
あまり鼻の穴から脳みそを引っ張り出されたり(鼻フック状態?)、お腹の中におがくずを入れられたくないものです。
取り出した切り口にはちゃんと護符を置かれていました。悪いものが入ってこないようにしたんでしょうか。
ローマ支配時代=『テルマエ・ロマエ』(?)化が進む
時代が新しくなり、ローマ支配時代になると明らかにローマの影響が出てきます。
この「男性のミイラ肖像画」なんて
『テルマエ・ロマエ』かよ!とツッコんでしまいました。
濃いですね〜、顔が。往年の日活スターかもしれません。
こちらの女性はギリシャ風のドレスをお召しだそうです(大英博物館のHPより)。
ミイラとその周辺のものって、
「ザ・エジプト」
なものばかりかと思っていたので、時代によってこんなに変化があるんだなととても面白く見ることができました。
大量生産の時代
時代とともに装飾品も大量生産されたようで、結構仕事が雑になってきます。
「カルトナージュのミイラ覆い部分」なのですが、下手っぴじゃありませんか?
なんかテキトー・・・。
これで埋葬されたミイラさんも、大量生産の適当なもので済まされて悲しかったことでしょう。
ちなみにこれが展示されていたゾーンのみ写真撮影OKでした。
「モノ」よりも「信仰」「死生観」がおもしろい
展示品はミイラのほかにも装飾品、化粧道具や子供のおもちゃ、ミイラに添えられていた護符なんかもあり、当時の生活や文化がわかるようになっていたのですが、私は展示品そのものよりも、それらから感じることのできる古代エジプトの
「信仰」と「死生観」
にとても興味がわきました。
「なんでミイラ作りがここまで発達したのか」(死後の復活・再生を望む死生観)
「動物の頭を持つ神が多いのはなぜだろう」
「霊的存在のバーとカーってなんだろう」
などなど・・・。
今までそんなに古代エジプトには興味がなかったのですが、知っていくとものすごい面白い世界なのでは・・・と少々興奮して展示を見終わったしだいです。
ミュージアムグッズについて
オリジナルグッズ多し
定番のポストカード、Tシャツ、クリアファイルなど以外にもイギリスのチョコレートショップHOTEL Chocolatとのコラボチョコレート、なんかよくわからない大麦ポン菓子、ヒエログリフのマグカップなどがありました。
オリジナルグッズが多い印象です。
エジプトグッズは大英博物館のミュージアムショップで売られているのと同じじゃないですかね、たぶん。
HOTEL Chocolatのチョコレートはロンドンで買って帰ってきて美味しかった記憶があるのですが、ちょっとお高めだったので買いませんでした。
日本にも知らない間にものすごい店舗が増えてますしね。
読んでおくとより理解が深まる参考文献
今回の展覧会を見て、興味が湧いて新たに読んだ本は以下の通りです。
山岸涼子さんの作品は以前に読んでいまして、今回展示を見終わってから新たに読み直しました。
やっぱりアヤシくて面白い!
『古代エジプト解剖図鑑』近藤二郎
古代エジプト初心者の私はあまり専門的過ぎず、サクッと死生観と神々について書かれたこちらを選んでみました。
主なファラオについてや、食生活、娯楽などの記載もあって、一般的な知識を得たい私のような初心者向けです。
『ツタンカーメン』全4巻 山岸涼子
ツタンカーメンの墓を発掘したハワード・カーターの物語です。
遺跡発掘のスポンサーがつくまでは薄給で観光客相手に風景画を売り歩いていたカーター。
遺跡発掘の裏側、イギリスとエジプトの遺跡をめぐるせめぎ合いなんかも描かれています。
4巻にはイシスとオシリスの物語も収録。これを読んでいたおかげで、なんとなくオシリス、イシス神の関係性がわかっていたので、理解が楽でした。
『ハトシェプスト 古代エジプト王朝唯一人の女ファラオ』山岸涼子
女性でありながらファラオになったハトシェプストの物語。
山岸涼子さん独特の想像力と筆致で物語は進みます。
アヤシイよ~。
神戸市立博物館周辺のカフェ情報
今回はアフタヌーンティーが食べたかったので、神戸オリエンタルホテルに行きました。
女子のテンションがあがるアフタヌーンティーでした!
また行きたい!
博物館の周辺にはカフェ、レストランがいっぱい
なにしろ神戸ですから、ランチやお茶をする場所には困らないと思います。
博物館の中にも神戸のケーキ屋さんTOOTH TOOTHが入っていますし、博物館のチケットを見せると割引になるお店のパンフレット(「神戸おいしいmap」)も博物館に置いてありました。
いいですね〜、神戸。
今回の展示は「過去の遺物を、ただ展示してある」というのではなく、展示してある人(ミイラだけど)も私たちと同じように病気になったり、虫歯になったり、ビールを飲んだり、と「生きていた人」として親近感(?)がわくようになっています。
ゴールデンウイークもやっていますし、連休どこ行こうかな~と考えている方は神戸市立博物館にミイラ展を見に行かれてはいかがでしょうか。