BBCドラマ『リリントン・プレイス エヴァンス事件』
本作は、1943年~1953年の間に8人以上を殺害したジョン・レジナルド・クリスティが犯した実在の事件を映像化、英BBCが2016年11月に放送した衝撃作。
本編中で描かれる「エヴァンス事件」は、英国犯罪史に残る凶悪事件で、冤罪事件として物議をかもし、1965年の英国における死刑制度廃止に大きな影響を与えた。
1950年、ティモシー・エヴァンスは、妻ベリルと娘ジェラルディンを殺害した罪で絞首刑となる。一度は自ら罪を認めた犯行であったが、その後エヴァンスは「無罪」を主張。しかし、二転三転するエヴァンスの主張は認められず刑は執行され、その背景に隠されていた恐ろしい真実は数年後に明らかになる…。
AXNミステリー
シーズン1のみ(2020年5月現在)
出演:ティム・ロス、サマンサ・モートン
【Amazon.co.jp限定】リリントン・プレイス~エヴァンス事件 [DVD]
BBC秀作ミステリー『リリントン・プレイス エヴァンス事件』を見た感想です。Amazonプライムにて視聴。
※ネタバレ含みます。
ティム・ロスの怪演を見る
怖かったー!!
何が怖いって、連続殺人鬼を演じたティム・ロスの怪演が怖い!
こんなの見れちゃうの、BBCのドラマはすごいです・・・。
ショッキングなシーンが出てくるわけではないのですが、じわーっと怖かったです。
3話完結なのでイッキ見しました。面白かった!
この殺人鬼、一見平凡無害な小市民ハゲオヤジを装っているわけです。でも奥さんのエセル(サマンサ・モートン)は
「なんか、こいつやばくね?」
と思っています。実際突然激高して怒鳴られたり、首を絞められたりします。
びびってお兄さんの所に逃げるエセル。
そのまま飛び出すのかと思いきや、なぜかハゲオヤジ・レッジの元に帰るエセル。
このダンナを疑いつつも、そばにいる意味不明さを演じるサマンサ・モートンがまた上手いんですよ~。
さすがだてに『ウォーキング・デッド』で死人の皮をかぶってませんね!
レッジはボソボソ喋るし、ハゲオヤジだし、どこが人好きされるのかわかりませんが、「俺は元々医者を目指してたんだぜー」
などと言って結構モテモテ。
友達の奥さんに色目を使ったりします。
この奥さんもレッジに殺されていたんだろうと思うのですが、それを薄々感づいていながら夫をかばうエセル。
うーん、よくわからない。この男のどこがいいんだ・・・。
冤罪で死刑になってしまうエヴァンスさん登場
レッジとエセルが住む家の2階に若い夫婦が引っ越してきます。
このダンナが妻殺し・娘殺しの冤罪で死刑になってしまったエヴァンスさんです。
若奥さんにターゲットを決めた若い女性好きのハゲオヤジ。
クモの巣にからめとるようにエヴァンス夫婦を追い込んでいく。
またダンナのティムが人を疑うことを知らないんだ、これが。
疑えよ!!
かわいそうになるぐらい、ハゲオヤジの言うことを信じて言うなりに行動し、奥さんと赤ちゃんを殺した殺人犯として捕まってしまいます。
かわいそすぎる・・・
きっと田舎からロンドンに出てきて頼る人もいなかったんだよね。
だから親切にしてくれるハゲオヤジの言うことを素直に聞いてしまったんでしょう。
裁判の証言台に立ったハゲオヤジ。自分が殺したのに嘘八百を並べてティムを犯人に仕立てる。
「結合組織炎を患っているから、重たい死体を運んだりできない」
信じてた人に裏切られ、自失茫然のティム。
かわいそすぎる・・・。
誰かこのハゲオヤジを捕まえてください!!この人ヘンタイの殺人者です!!
ティムはかわいそうに冤罪で死刑になってしまいますが、その後もレッジの犯行は止まらない。
エセルを殺した後、歯止めがかからなくなったように次々と若いオネエちゃんを家に呼び込んでは凶行におよびます。
どうしてこのハゲオヤジについていくのだ、みんな・・・。
怪しいだろ!
と、思われないのがこの人のとても怖いところです。
本当に怖い。
逮捕され尋問に答える時ものらりくらりと答えるオヤジ。
「私は結合組織炎に苦しんでる。腸炎にも。ノイローゼにもかかった」
出たー!!
また結合組織炎か!
なんだ、それは。どうしてそれ、何度もアピールしますか。それは自慢できることなのか?!
「医者に記憶障害があると言われた。責任能力のない人間は死刑にできない」
と言うのも現在の凶悪事件にもつながる言い訳で嫌~な感じ。
とにかく逮捕された後も何を考えているのかわからないし、反省してないだろうし、なんなら薄ら笑いを浮かべていて怖いのなんのって。
まさに怪演です。
結局なぜ殺したのか理由はわからないし、最期に「申し訳なく思う」と言ってるけど、表情からは本当にそう思っているかまったくわからない。
なぜかエヴァンス夫婦の赤ちゃんを殺したかどうかは最後まで否認しており、なんとも救いのないドラマでした。
でも見ごたえあり!BBCドラマは手堅いなあと思う感想でした。
イギリスを感じるポイント
見ていてイギリスだなあと思ったポイント。イギリス好きな貴方に。
①「Dear Dear」
やたらとレッジが「Dear Dear」と言っており、「おやおや」「やれやれ」みたいな意味に訳されていると思うのですが、彼のやったことを思うと
「おやおや」じゃねーよ!!
それはさておき。
私がイギリスに留学していた時のホストマザーがよくこの「Dear Dear」を口にしていました。
アメリカ英語ではあまり聞いたことがない(ような気がする)ので、年配の人が使うイギリス英語なのかもしれません。
②「Cup of Tea?」
出た!「お茶飲む?」
これもホストマザーの口癖で、何かというとお茶を飲ませたがりました。
ソープ・オペラ(イギリスの昼ドラ)にも、やたらとこのセリフを言う人が出てくると聞いたような気が・・・。
いくら私が紅茶好きでも、お腹だぼだぼだってばさ。
③屋外での作業中にマグカップで「Cup of Tea?」
これ、日本だとありえないですよね?
マグカップは屋内で使うものでしょう。
第一、車の修理してる所に蓋のないもの持ってきたらホコリが入るじゃないか!
置く所もどうする?地べた?地面に直接マグカップ置くの???
これも経験がありまして、おけいこプチ留学中に庭でハーブの剪定をしていたら、マザーがマグカップにミルクティーを入れてきてくれて、置き場所に困るわ、アリがたかるわでどうしようかと思いました。
④リリントン・プレイス(Rillington Place)
タイトルにもなっているリリントン・プレイスはレッジとエセルが住んでいた場所で、何人もの遺体が発見された場所です。
思わずGoogle mapで調べてしまいました。
有名なポートベロー・マーケットも歩いて行けそうな場所じゃないか!
ひええ。
ポートベロー・マーケットは何度も行ったことがあるので、ちょっとびびりました。
という4点がイギリスチェックポイントです。
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